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岸博幸のクリエイティブ国富論

8月に脱原発解散?政権の延命材料に使われる
再生エネ法の失われゆく大義とそもそもの問題点

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第143回】 2011年6月24日
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 居座りを決め込む菅首相が延命の理屈として、「再生可能エネルギー特別措置法案」の成立を条件にしています。政治的な思惑はともかく、反原発・自然エネルギー推進の人たちはこれを歓迎していますが、この法律が成立すれば本当に再生可能エネルギーは普及するのでしょうか。

菅首相の「金正日化」

 それにしても、菅首相の瀬戸際での粘り腰は率直にすごいと言わざるを得ません。民主党内の人いわく、「菅さんは不信任決議案を否決して一皮むけた」らしいですが、それにしてもここまでの粘り腰は、私がかつて国際機関に勤務していた時代の交渉相手であった北朝鮮の得意技である「瀬戸際外交」を彷彿させます。不信任決議案を否決して腹の据わってしまった菅首相の「金正日化」がどんどん進んでいると言えるのではないでしょうか。

 しかし、それは逆に言えば、民主党の執行部の政治家の情けなさの裏返しに過ぎません。国会会期延長を巡るドタバタを見ていると、いつから日本の政治は大統領制のような体制になったのだろうかと思ってしまいます。

 日本は議員内閣制であり、国会で多数を占める与党の代表が総理になることを考えると、与党である民主党の総意が「菅首相早期退陣」であるにもかかわらず、菅首相一人のわがままに押し切られる民主党執行部の弱さには目を覆うしかありません。

 それはともかく、菅首相が延命の材料として突如持ち出したのが、3月11日という東日本大震災の当日に閣議決定されながら、震災後の混乱でその後国会審議が滞っていた「再生可能エネルギー特措法案」の成立です。

 どうも菅首相は個人的なブームが変わりやすいようで、これまでもTPP→消費税増税→原発事故と首相の目標はシフトしてきましたが、ここに来て、今の通常国会の冒頭の所信表明では一行しか触れていなかったこの法案が、突如として管首相の“想い”となりました。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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