五月病と異なるのは、新陳代謝機能の変化も原因のひとつとして挙げられる点だ。新陳代謝機能は冬の間は低下しているが、春になり、気温が上がるにつれて活発になっていくという。その際、生理的に不安定な状態になり、疲労感を覚えると解説される。

 アメリカには五月病に似た症状として、冬休み休暇明けの1月に「January blues」、夏休み明けに「September blues」がある。「Blue Monday」(憂鬱[ゆううつ]な月曜日)という言葉の通り、英語で「Blue(青)」は憂鬱な精神状態のことだ。アメリカ在住21年のジャーナリスト・新垣謙太郎氏が解説する。

「多くのアメリカ人は家族と共にクリスマスを過ごして、お正月を友だちなどとパーティーをして迎えるので、1月の仕事始めや新学期を迎える際に憂鬱になる事が多いようです。特にアメリカらしいのが、12月に購入したクリスマスプレゼントのクレジットカード精算を1月中旬にしなければならないので、経済的理由から憂鬱になる人も多くいること」

 お国柄を感じるのは、日本の五月病のように、職場や学校などの環境の変化によって大勢が同時期に不調を訴えるような事例は「目にしたことがない」ということだ。

「アメリカでは日本のような入学式や入社式などはなく、季節の変化も日本人ほど意識しません。特に社会人は転職が多く、一斉に同じ時期に入社して仕事を始める習慣がないので、五月病的な現象はまったくと言っていいほど見られません」

 冬休み休暇明けに憂鬱になる「January blues」はアメリカ以外にも、クリスマス休暇を重視する国ではよく見られる症状だ。「イギリスでも1月はみんな気だるそうにしています。一方で5月は春の気配を感じて、テンションが上がっている人が多い」(30代女性、日本在住のイギリス人イラストレーター)、「ドイツにはUrlaubsbluesという言葉があります。長期休暇明けの憂鬱という意味。ドイツ人は休暇をとても大切にするので、気分が沈む人が多い」(20代男性、現地在住のドイツ人学生)。

 陽気なイメージがあるブラジルでも、クリスマス休暇明けは憂鬱な時期。

「五月病のような名前はありませんが、1月中旬から2月にかけては人々の気分が落ち込み、経済が停滞します。またブラジルらしいのが、サンバカーニバルが終わる2月後半から3月にかけて“カーニバルロス ”があること。ブラジル人は半年前くらいから準備を始め、文字通り命がけで楽しみます。結果、心にぽっかりと穴が空いて、仕事が手に付かないという人が大勢いる」(30代男性、現地在住の日本人会社経営者)