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日本を元気にする新・経営学教室

ゲーム人口は増えているのに
なぜゲーム機が売れなくなったか
「意図せざる戦い」を戦い抜く3つのポイント
早稲田大学ビジネススクール教授 内田和成

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第21回】 2011年6月27日
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携帯の機能向上が
任天堂の苦戦を招く

 任天堂はかつてWiiやDSを投入することで、これまで若い男性がメインユーザーだったゲームの世界を、女性や中高年も楽しめる世界に変えてしまった。そのためにゲーム人口は一気に広がった。電車の中でDSを使って脳トレをやっている中年女性、あるいはWiiを使って家族でスポーツゲームをやる人々が新しく誕生した市場である。

 ところが、せっかく自分たちが広げたゲーム機マーケットを、携帯電話に奪われてしまった。電車の中で携帯電話やスマートフォンを使ってゲームをやっている人は、年代性別を問わず多数存在する。以前だったら車中でDSを使っていた中年女性が、今は携帯に向かってゲームをやっている。

 ゲームをやる人口は増えているし、ゲームをやる時間も増えているのに、ゲーム機は売れなくなり、ソフトも売れない。代わりに儲かるのはモバゲー(DeNA)やGREEのようなケータイ電話専門のゲーム会社である。

 携帯電話会社はドコモのような通信会社であれ、シャープのような携帯端末会社であれ、任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメントに戦いを挑もうと思っているわけではない。自分たちの通信ビジネスあるいは端末ビジネスを、より便利に、あるいは競争相手に対して差別化するために、いろいろな機能を付け加えているだけなのである。その結果が、ゲーム機業界を苦境に陥れる。なんとも皮肉な話と言える。

 他にも携帯が壊しつつある業界は多数存在する。たとえば、腕時計業界。昔はビジネスパーソンには腕時計が必需品だったが、今は携帯で時計機能を代用すれば十分とばかりに、腕時計を持たない若者が増えている。

 カメラ業界もそうかも知れない。携帯カメラがどんどん高性能化して、画素数だけならデジカメ並みだ。そうなるとデジカメをわざわざ持ち歩かずに、携帯のカメラ機能で十分と考える人も増えている。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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