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連載経済小説 運命回廊
【第50回(最終回)】 2011年7月7日
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村上卓郎

回廊の果て

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(2008年12月、上海)

 翌日、クリスマス。

 隆嗣は、コートの襟を立てて長風公園の湖の畔に佇んでいた。

 この公園も大きく様変わりしていた。水族館が建ち、子供が喜ぶ遊器具が緑を削って設けられており、立派な遊園地となっている。いい歳の男が一人で入るには恥ずかしいほどだ。

 しかし、この湖だけは、変わらずに残ってくれていた。寒風に晒されて寂しく左右へ枝を振る数本の柳も、あの時の光景のままだった。

 「今日でちょうど21年だ。俺もこんな中年男になってしまったよ」

 隆嗣が黒い湖面へ向かって囁いている。

 「君はずるいよ。思い出す君は、いつまでも若いままだ……。でも、もういいかな。今日、日本へ帰るよ」

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村上卓郎(むらかみ・たくろう)

1965年生まれ。大学在学中に中国へ留学。会社勤務にて貿易業務と海外駐在を経験。現在は独立して貿易仲介業を営む。初めて書いた『認命(レンミン)――さだめ』が第3回城山三郎経済小説大賞で最終候補に残り、選考委員から絶賛される。


連載経済小説 運命回廊

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