(5)新入社員に対する職務指導制度の見直し
 職務を遂行していく上での疑問点とか、困った場合の相談事がある場合、親子ぐらいの年齢差がある上司には話しにくいことがある。そこで入社3年~5年の若手先輩社員をつけ、業務のチェックやアドバイス等を行う「ブラザー・シスター制度」を導入することにした。兄弟姉妹のような密なコミュニケーションを図ることで新入社員は円滑に仕事を進められるようになり、指導係になった社員はリーダー力の向上にも繋がる。

(6)新入社員採用基準の見直し
「新入社員は『ただの石ころ』。これを『ピカピカに輝くダイヤモンド』にするのは社長の力量である」
 C社長はD社労士から言われた上記の言葉が、心に「グサリ」と突き刺さった。採用時から「ダイヤモンド」を探そうとするから失敗する。「石ころ」でも会社の貴重な戦力に磨き上げることは可能なのだ。甲社のような会社の規模からすると、それは社長の役目になるであろう。Aのトンデモ言動により他の社員にも悪影響を与えてしまったことに、C社長は猛省した。そして社員のため、会社の発展のためにも、この問題に向き合って社内改善に尽力し、良い職場環境作りに向け踏み出したところである。

 今回は「新人トラブル」について紹介したが、現在、社労士等が相談に乗る企業の悩みで増えているのが「問題社員」「部下を潰す上司」等に関するもの。本事例のように、周囲の迷惑も顧みず、無断欠勤をしたり、休職中に海外で遊んでいたり、あるいは奴隷のように部下を扱い、仕事で失敗したらネチネチと責め続け、部下を潰して退職に追い込んだりといった上司の話も耳にする。

 こうした問題ある社員や上司を切り捨てるだけでは解決につながらない。世間の事例を普段からよくリサーチし、同じことが職場で起きたらどう対処すべきかという共通認識を持っておくこと、そしていざトラブルが起きた時は適切に対処することが、企業関係者にとって重要なのである。今後、機会があれば、皆さんによりバラエティに富んだ事例をお届けしたいと思う。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。