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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

同族企業には原則がある
外部の者以上に働かない限り
一族を働かせてはならない

上田惇生
【第248回】 2011年7月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「経済成長の活力は、巨大企業から、同族企業を含む中堅企業へと移行しつつある」(『チェンジ・リーダーの条件』)

 現代の経営では、官営の大工場を民間の有力者に払い下げて、新しい産業をつくるわけにはいかない。いわんや国有国営の企業に産業を任せるわけにもいかない。となれば、主役は民間の大企業、中堅企業における多角化であり、中小企業の成長である。

 ドラッカーは、中小企業、特に同族企業を支援し、その事業継承を容易にすることが、企業家精神の観点から重要だという。現実の問題として、多くの企業が、一人ないしは数人の手によってつくられ、同族として発展を始める。

 もはや、同族がよいか悪いかが問題ではない。個を重視するからには、個による起業を当然としなければならない。とすれば、同族への継承も当然としなければならない。一代限りで没収というわけにはいかないし、没収同然というわけにもいくまい。

 ここにおいて、同族企業の側も、同族企業のマネジメントについての原則を知り、その根底にある理念を理解しなければならない。

 それは、同族企業にせよ、会社を所有する一族にせよ、一族が同族企業に奉仕する場合にのみ繁栄できるということである。反対に、働く者が一族に奉仕すべくマネジメントするようでは、同族企業と一族のいずれもが繁栄できない。生き残ることさえできないだろう。

 ドラッカーは、同族企業という言葉で鍵となるのは、前半の「同族」ではなく、「企業」のほうだという。同族以外の者並みの能力を持ち、少なくとも同族以外の者以上に働く者でない限り、同族企業で働かせてはならない。出来の悪い甥を働かせて給料を払うくらいなら、来ないようにカネをあげたほうが安くつくとさえいう。

 初代のロスチャイルドは、ロンドン、パリ、ウィーン、フランクフルトに4人の息子を配置した。本当は、ニューヨークにもう一人置きたかったが、人柄はよくても仕事ができない五男坊には任せられなかった。肩書きだけでも、というわけにもいかず、ナポリで生涯を優雅に過ごさせたという。

 「同族企業では、一族の者は肩書や仕事が何であれ、事実上、トップマネジメントの一員である」(『チェンジ・リーダーの条件』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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