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コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国大統領選ネット上でも大激戦

虚偽ニュース横行で親族の和に亀裂も

趙 章恩 [ITジャーナリスト]
【第14回】 2017年5月29日
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先の韓国大統領選挙戦は、まれに見る盛り上がりぶりだった。選挙に国民の関心が向くこと自体は歓迎すべきだが、その陰ではソーシャルメディアを中心に大量のフェイク(虚偽)ニュースが飛び交い、大きな混乱が生じていた。スマートフォン時代の選挙で起こった事態の顛末を紹介したい。

大統領選挙戦での熱狂的
支持活動の裏側では…… 

Fotolia_129169926かつてないほどの盛り上がりを見せた第19代韓国大統領選挙戦。その陰でネット上で盛り上がっていたのは…… Fotolia_129169926

 2017年5月10日、波乱の選挙戦を制し、文在寅(ムン・ジェイン)第19代韓国大統領が誕生した。

 韓国社会世論研究所が同日、19歳以上の男女1044人に行った世論調査では、回答者の83.8%が文大統領に期待すると答えている。

 大統領選挙期間中の選挙運動では、文候補(大統領)支持者の熱狂ぶりは特にものすごく、街角演説に自作のうちわやプラカードを持ち込み、まるでコンサート会場のような盛り上げ方で派手な応援をしていたのが印象的だった。

 文候補の所属政党「共に民主党」も、こうした熱心な支持者に応えようと、演説が終わった後に応援に駆け付けた現役国会議員らが壇上に上がって、歌ったり踊ったりして大いに場を盛り上げた。

 だが、筆者の目が釘付けになったのは、むしろ、国会議員らが客寄せパンダになって踊っている間、「共に民主党」の職員たちが支持者の周りにテーブルを置いて、「文候補が大統領になったらこういうことをしてほしい」という要望を聞いてパソコンに入力していたことだ。こういう光景は初めて見たのでとても新鮮だった。

 一方、さまざまなオンラインコミュニティサイトでも、政党関係者だけでなく、各候補者を支持する人たちの書き込みがあふれていた。

 候補者の公約や経歴を写真入りでまとめたものから、パロディあり、お笑いネタありでユニークな応援をする人も多かったので、ネット上もまた、お祭りさながらの大騒ぎだった。

 ――ところがこの後ほどなく、有権者たちがお祭り騒ぎに興じているわけにも行かなくなる事態が発生する。今回の大統領選挙戦でも、ソーシャルメディアを中心に拡散するフェイク(虚偽)ニュースが大問題になったのだ。

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趙 章恩 [ITジャーナリスト]

ちょう・ちゃんうん/韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。
IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「ニューズウィーク」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。


コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国の国民生活に、ITがどれほど浸透しているか、知っている日本人は意外に少ない。ネット通販、ネットでの納税をはじめとする行政サービスの利用、公共交通機関のチケットレス化は、日本よりずいぶん歴史が古い。同時に韓国では、国民のIT活用に対する考え方が、根本的にポジティブなことや、政府が規制緩和に積極的で、IT産業を国家の一大産業にしようとする姿勢などが、IT化を後押ししていることも事実である。

一方の日本は、どうして国を挙げた大胆なIT化の推進に足並みがそろわないのか。国民生活にITが浸透している韓国の先行事例を見ながら、IT化のメリットとリスクを見極めていく。

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