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新・独学術
【第7回】 2017年7月14日
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侍留 啓介

経営者が一番好きな本は「○○」。その理由とは?

マッキンゼー・アンド・カンパニーなど要求水準の高いビジネスの現場を渡り歩き、「可能な限り優れたパフォーマンスを実現するためにはどうすべきか?」と試行錯誤してきた著者が提案する、ビジネスパーソンのためのまったく新しい学習法『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』。佐藤優氏が「ビジネスパーソンにとって本当に役に立つ最良の書」と絶賛するなど話題の同書より一部を特別公開する。

経営者が好きな本の共通点

 経営者に一番好きな本や愛読書について話を聞くと、必ず挙がるのが「古典」です。東洋でいえば『論語』『孫子』、西洋でいえばマキャベリの『君主論』やマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』など、古典の名著を挙げる方がほとんどなのです。

 なぜ数百年、数千年も前に書かれた古典がいまなお、とくに経営者に読み継がれているのか。その理由は、古典が時の洗礼を受けた真理(に近いもの)であることのみならず、文章の抽象度の高さにあると思います。

 普遍的なメッセージを持った抽象度の高い文章は、読み手のレベルや状況にしたがってさまざまなヒントを与えてくれます

 たとえば、『孫子』は「兵とは国の大事なり」の一節で始まります。ここでいう「兵」とは文字通り「兵士」という意味と「国防」の意味があります(伊丹敬之『孫子に経営を読む』〈日本経済新聞出版社〉を参照)。これは経営者の視点で考えるとさまざまな解釈ができます。

 経営者にとっての「兵士」とは社員のことかもしれませんし、「国防」とは「国家経済」かもしれませんし、「自分の会社」や「会社の展開する地域」についての戦略とも読めます。その会社にとっての生死を分ける技術やサービスのことかもしれません。

 ビジネスにおいては日々、不測の事態や前例のない事態が起こりますが、経営者ともなれば、会社に起こるさまざまな事態に最終的な責任者として対処しなければなりません。

 ありとあらゆる問題に対応するには、トラブルシューティングの具体的な事例を数多く頭に入れておくよりも、トラブルへの抽象度の高い応用力を鍛えるほうが効果が高いのではないでしょうか。古典を好む経営者は、古典の抽象的な原理原則を身につけ、原理原則をいくつもの具体例に翻訳しながら、自分の考えを深めているのだと思います。

 もっとも、不測の事態への柔軟な対応力は、これからの時代、経営者ならずともあらゆるビジネスパーソンに必要とされてくる能力です。ぜひ、ときには抽象度の高い古典を読むようにしてみてください。

(本原稿は、侍留啓介著『新独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』より抜粋・編集して掲載しています)

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侍留 啓介(しとみ・けいすけ)

岡山県生まれ。早稲田大学卒業後、三菱商事にて金融投資業務を担当。その後、シカゴ大学経営大学院にてMBA(経営学修士)を取得。帰国後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融・消費財・製造業など幅広い業界において経営コンサルティング業務に従事。現在は、外資系投資ファンドであるCLSAキャピタルパートナーズにて投資実行・経営支援に従事。大手学習塾の取締役を務めるなど教育ビジネスにも精通。また、京都大学博士後期課程にてファイナンス理論(専門はコーポレートガバナンス)を研究している。


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