しかし、スーツ姿にリュックを背負うことをマナー違反だとする人も少なからずいる。筆者の知人男性は「普段はノートパソコンを入れやすいという理由でリュックを背負っていますが、大事な商談がある時などは失礼にあたると思い、手提げカバンにかえています」と話す。この男性に限らず、「スーツにリュックは営業先に失礼」と考える人は多いようだ。

 ほかにも「そもそもスーツにリュックはダサい」「肩に背負うとスーツがよれて不恰好」「リュックには、どうしてもオタクっぽいイメージがある。『電車男』みたいな」といった声もあり、流行の陰で「スーツにリュックはありか、なしか問題」がくすぶり始めているのである。

年配のビジネスパーソンには、リュックはNG

 小学生用ランドセルのルーツは、軍用の背嚢(はいのう)だと言われている。通学や行軍で使われていたものが、通勤に不便なわけがない。個人的にリュックは、肩掛けや手提げカバンよりも、持ち運びが楽チンな気がして重宝している。肩が凝らないような気もする。

 リュックはスーツ姿にカジュアルさを演出するが、スマートに着こなせば、都会的なイメージも表現できる。雑誌によるビジネス用のリュック特集では、書類が上手に収納でき、取り出しやすいといった機能性だけではなく、デザイン性も押し出されている。価格も2万~5万円くらいのものが推奨されていて、リュックだからといって「安っぽい」というわけではない。「オタクっぽい」というイメージとは程遠い、スタイリッシュな着こなしをする人が増えている。

 リュックが通勤用のアイテムとして使われ始めた歴史は浅く、「定点観測」をベースに若者とファッション、カルチャーの研究をしている「アクロス」1996年12月号によると、ビジネスマンがよく持ち歩くカバンのうち、リュックはたったの1.3%(マーケティング・データー・バンク調べ)だった。それから、わずか20年余りで一気に市民権を得たかたちだ。