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飯田哲也の新・エネルギー原論
【第6回】 2011年7月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

海江田「原発再稼働要請」無責任発言の裏で
脱原発・自然エネルギーへの“地殻変動”

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「(原子力発電の短期的な安全対策が)適切に実施されたことを確認した」
6月18日、海江田万里・経済産業大臣はこう表明し、地元自治体に原発再稼働への理解を求めた。安全神話が崩壊し、未だ検証も見直しも進んでいない中での唐突な再稼働要請に、原発立地地域も国民も呆れ、怒りさえ覚えている。この理解に苦しむ大臣発言は、歴史的な大惨事を経てもなお変わらない、度し難い原子力ムラの不能性と政治の空洞を象徴している。だが一方、政治家の間では脱原発への地殻変動も起こり始めている。

安全性が崩壊したまま太鼓判押す経産相
国民の不安に寄り添う視線が欠如している

 この連載の第1回目で、私は以下のように述べた。

 「全原発の即時停止を避けたければ、地域の首長や住民の合意を得ることのできる最低限の『仮免許的』な判定基準と、ある程度の損害賠償の枠組みを作らねばならない。それをもとに、既存の原発に対してバックチェック(ストレステスト)を実施し、それぞれの原発を動かすか否か判定する必要がある」

 しかしながら、海江田大臣の発言には呆れるほかない。何の見直しのないまま「ほかの原発は安全です」と言うのは、「非科学・非論理・無責任」極まりない。

 あまりにも稚拙で粗雑なやり方なので、ひょっとすると政府内にいる反原発派による、原発をすべて止めるための戦術ではないか、と疑ったほどだ。

 もはや誰も信用していない原子力安全・保安院の体制も、いっさい見直されていない。事故調査委員会も始まったばかりだ。損害賠償に関しても、現時点では補償上限1200億円、天災は免責されるという事故以前の枠組みのままである。

 福島第一原発事故で、安全性と損害賠償の基盤は崩壊している。この状態で、何を根拠に再開可能と言えるのか。海江田大臣も「官僚ペーパー」から目をそらして、自分の頭で考えてはどうか。

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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

1959年、山口県生。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力の研究開発に従事した後に退職。現在、非営利の研究機関の代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰し、科学者でもある。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府および東京都など地方自治体のエネルギー政策に影響を与えるとともに、国際的にも豊富なネットワークを持つ。主著に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか』(NHK出版)、『日本版グリーン革命で 経済・雇用を立て直す』(洋泉社新書)、『自然エネルギー市場』(築地書館)など。5月に『今こそ、エネルギーシフト 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』(岩波ブックレット/共著)を刊行予定


飯田哲也の新・エネルギー原論

東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々な問題を提起した。夏場の電力不足への対応という短期的課題だけでなく、原発存続の是非や、電力の供給体制のあり方といった中長期的な政策に及ぶ議論が一気に噴出している。エネルギー政策の第一人者として知られる飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、問題の本質をひもとき、合理的な解決策を探求する。

「飯田哲也の新・エネルギー原論」

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