ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
飯田哲也の新・エネルギー原論
【第7回】 2011年7月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

東北など自然エネルギーを軸とした街づくりに
いま求められる「地域の核」の3要素

1
nextpage

被災した東北地方では、自然エネルギーを軸とした街づくりを目指す自治体も多い。事業として地域がオーナーシップを持って育て、雇用や収益を域内にもたらせるような仕組みはどのようにつくれば良いのだろうか。過去、“補助金事業”の失敗例は枚挙に暇がなく、成功例は数えるほどしかない。それらから導かれる成功要因は、「地域の核」づくり――資質あるリーダー、需要プル発想、大局的視野を持つ首長の協力――にあるようだ。

 7月8日、宮城県気仙沼市を訪れた。津波の爪あとはすさまじく、まだ多くの瓦礫が残る。復興への道のりは容易でない印象を受けた。

 訪問の目的は他でもない。自然エネルギーをベースにした街づくりを進めていくための議論、意見交換をするためだ。現在、審議中の再生可能エネルギー法案が成立したとき、地域でどう受け止め活かしていくべきか。

 これは単に、エネルギーの地産地消だけを狙った取り組みではない。自然エネルギーを、事業として地域がオーナーシップを持って育て、域内に雇用や収益をもたらせるような仕組みを目指すのである。

 宮城県は、県議会議長の畠山和純さん以下、知事の村井嘉浩さんも自然エネルギーに熱心だ。加えて、(財)みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)や東北大学など、環境分野の市民社会は分厚く、これからの展開に期待できる。

 同じような希望を持つ自治体は、気仙沼だけではない。宮城県東松島市や福島県南相馬市も頑張っている。自然エネルギーをベースにした街づくりに向け、機運と希望はみなさん持っておられるので、あとは具体的な方法論が必要だ。

“補助金事業”の失敗を量産する
国・自治体・受託企業の無責任トライアングル

 しかしこうした取り組みは、期待が盛り上がる一方、現実には失敗することが多い。過去にも多くの失敗事例をみてきた。

 代表例は、茨城県つくば市の“回らない風車”だろう。小中学校のグラウンドなどに23機の風車を設置したが、ほとんど発電しないばかりか、電気を消費するだけで終わった。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

1959年、山口県生。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力の研究開発に従事した後に退職。現在、非営利の研究機関の代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰し、科学者でもある。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府および東京都など地方自治体のエネルギー政策に影響を与えるとともに、国際的にも豊富なネットワークを持つ。主著に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか』(NHK出版)、『日本版グリーン革命で 経済・雇用を立て直す』(洋泉社新書)、『自然エネルギー市場』(築地書館)など。5月に『今こそ、エネルギーシフト 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』(岩波ブックレット/共著)を刊行予定


飯田哲也の新・エネルギー原論

東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々な問題を提起した。夏場の電力不足への対応という短期的課題だけでなく、原発存続の是非や、電力の供給体制のあり方といった中長期的な政策に及ぶ議論が一気に噴出している。エネルギー政策の第一人者として知られる飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、問題の本質をひもとき、合理的な解決策を探求する。

「飯田哲也の新・エネルギー原論」

⇒バックナンバー一覧