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福井エドワードのINSIDEグリーン革命

民主党政権を批判する前に、排出量取引をきちんと理解しよう

福井エドワード
【第12回】 2009年10月8日
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 前回までに、民主党のマニフェストの中から、①温暖化ガスの総量の削減目標、その重要な手段としての、②自然エネルギーの導入目標について述べた。

 民主党マニフェストではさらに、③「キャップ&トレード方式による(中略)国内排出量取引市場を創設する」、④「地球温暖化税の導入を検討する」とある。①が総量の目標値、②が供給サイドでの温暖化ガス削減の手法、③と④が需要サイドでの削減手法ということになる。

 ここでは、国内での炭素クレジット(排出量)取引についてのみ考えて、国際的な炭素マーケットの考察には触れないので、混同のないように注意喚起したい。

 そもそも、「排出量取引市場」という言葉から、取引を中心とした制度に感じられる。そのため、「マーケット至上主義」、「マネーゲーム」という、面白おかしい批判にさらされることがある。

 排出権取引には、1)キャップ&クレジット、2)ベースライン&クレジットの2つの手法があるが、2)は、現状(ベースライン)をもとに、それよりも削減した場合に、炭素クレジットを付与する考え方であり、「努力目標」に近い考え方である。

 政府により強制力があるのが、キャップ&クレジット方式であり、本連載の第5回でも紹介したが、日本でも東京都では、既にキャップ&トレード方式による排出量取引制度が始まっているのである。

 企業・事業所といった主体毎に、「排出枠」が設定されることから、大気汚染、水質汚染と同様な規制手法である。新しい点は、規制された水準を達成できなかった際に、他の主体から排出枠を買ってくることができる点にある。

 出発点は、規制的な手法であるが、効率良く総排出量を削減していくために、市場の機能を使って、社会全体としてのコストを小さくしようという仕組みだ。

 ここで、制度間の比較を試みたい。温暖化ガスの大幅な削減が既に設定された目標であるとした場合に、国内排出量取引制度に反対する人は、他にどのような手段を代替案とするのであろうか?

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福井エドワード

ブラジル・サンパウロ生まれ。幼少を米国シアトルで過ごす。東京大学法学部卒。イェール大学 MBA。建設省(現・国土交通省)、米大手VCのアクセルパートナーズ(サンフランシスコ)、みずほ証券投資銀行グループ等を経て、2004年からプライベートエクイティ投資コンサルティング会社ルビーインベストメントリサーチ。国内外の人脈を生かし、環境・エネルギー分野で精力的な活動を展開している。1月に発足した低炭素経営研究会の幹事も務める。現在参加企業を募集中。
◎同研究会に関するお問い合わせはこちら


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オバマ政権の“グリーンニューディール”で、世界の環境ビジネスは飛躍のチャンスを得た。環境技術大国の日本がこの機を逃す手はない。環境投資の最前線で活躍する筆者が、商機の在りかを探る。

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