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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「休閑文化」が発達している成都には
消費市場としての中国の魅力が凝縮されている

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第61回】 2011年7月14日
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 全日空による東京-成都直行航路が開通し、奥地にある四川省の省都・成都市が一気に近づいた。以前なら赴任地が成都だと聞いて目の前は真っ暗だと言っていた日本のサラリーマンはこれからたぶんいなくなるだろう。現地にいち早く進出したイトーヨーカ堂の成功により、成都の豊かさと消費力の高さが日本でも認知されるようになった。伊勢丹も数年前に成都に進出している。

成都の「寛窄巷子」にあるオープンテラスのカフェ。

 成都を訪れると、政府の高官から庶民までが自慢するのが、「茶館が一番多い町」ということだ。茶館とは、中国茶を飲む喫茶店のことをいう。茶館が多いことは、のんびりと生活を楽しむ習慣がその土地に根付いていることを意味する。だから、成都市内を歩き回ると、「休閑」という言葉をよく耳にする。

 中国語では、「休閑」とはのんびり過ごすこと、レジャーを楽しむことをいう。「休閑産業」とは「レジャー産業」のことだ。「休閑場所」はレジャースポットのことを指す。「休閑服装」はカジュアルウェアだ。

 成都という名は、西周王朝(公元前1046年~公元前771年)の都を定める過程のなかで、周王が遷都する際に、「一年経てば人々が住むところが固まってくる。二年で町になる。三年も経てば都に成る」と語ったという伝説に由来するそうだ。数千年の名前を持つ同市は言うまでもなく西部、特に西南地区で最も繁栄する都市として自負する。経済的にも西部地区でトップの地位を誇る。

 成都の豊かさ、その「休閑」文化の発達ぶりを見るには、日が暮れた頃が一番いい。最もわかりやすく成都の特徴を見せてくれるところは「寛窄巷子」というエリアだ。

古い町並みが残る「寛窄巷子」。

 「巷子」というのは、横丁、路地という意味で、北京の「胡同」や上海の「里弄」に相当する。中国語では、「寛」は広いという意味で、「窄」は狭いという意味で、寛窄巷子とは、広い横丁と狭い横丁からなる横丁のことを言う。この一帯は成都市に残存する清朝時代の古い町並みの一つで、寛巷子、窄巷子、井巷子と三本平行して並ぶ古い町並みとその間に立てられた四合院によって形成された空間だ。青レンガ作りの家が北京の「四合院」に似ている。南方地域で唯一、北方の胡同文化と建築様式を見ることができるのがこの寛窄巷子だと言われる。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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