「ゆとり世代」は本当に全然ダメなのか?
教育の質を仕事の質と結びつけたがる上司たち
先日、食事会の席で50代の会社役員から聞いた話だ。
「“ゆとり”はダメだね。あんなのが将来の日本を担うかと思うと、ぞっとする」
何がダメなのか、尋ねてみた。
「うん?全部ダメ。基礎知識ないし、仕事の意味わかってないし、失敗しても言い訳しかしないし、根気ないし、ヤル気もない。こっちの言うこと理解できないし、しようとしないし、ましてや仕事任せるなんて、何年経ってもできないね、ありゃ」
その方は拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』を読んでくださっていたのだが、彼らを仕事場で「フリーライダー」として見ると、ほぼ全てのカテゴリに当てはまるらしい。比較的高齢者に多い「アガリ型」もいるし、若年層に多い「成果泥棒型」(アレオレ詐欺型)、「暗黒フォース型」、「自己愛型」、さらに「草食系」まで加わって、拙著で触れたあらゆるフリーライダーのタイプがこの「ゆとり世代」に集まっているという。
ゆとり世代が正確にはどの年代の人々を指すのかについては、実はいくつかの見方があって、一定していない。広く見るならば、現在15歳から24歳までの若者がそれに該当する。
18歳以上の就業人口にも、それなりの割合を占めるようになってきているため、「ゆとり世代」と直に接する先輩社会人も増えてきた。冒頭の言葉は、そのうちの1つの例である。
ネット上の掲示板などで、「ゆとり」という場合はネガティブな意味で使われることが多いようだ。若者が基本的な知識を知らないことを揶揄するときに使われる。
確かに、算数の授業で円周率を「3」と教えたり、社会や理科が小学校の科目から外されたりしている教育環境では、その上の世代とは持っている基礎知識は違うだろう。基礎知識が少ないという点は、当たっていると私も思う。