経営 X 人事

AIは日本の人事部の仕事をどこまで変えたのか

人手を要していた採用時の書類選考にAIを活用する

 一方、従来の人事システムの問題点はデータの"孤立"とともに、あちこちに"散在"していたこともにもあったという。その点に着目し、AIを活用した戦略人事クラウド「HRMOS」を開発したのが人材サービスを展開するビズリーチである。

 「採用管理や勤怠管理、評価管理、健康管理、経費管理、給与管理などの人事データを一元管理し、様々な分析・活用を可能とするタレントマネジメントシステムです。まず、AIが企業ごとの特性を学習します。そして、採用後の評価をインプットしていくことでその企業で活躍する社員の特性を可視化し、選考基準の最適化を図っていきます」(同社HRMOS採用管理事業部の古野了大事業部長)

 ただし、現時点でAIが実装されているのは、まだ書類選考評価予測のプロセスにとどまっているという。過去の書類選考の評価をAIが機械学習し、候補者が応募してきた際にその人物に対する評価を予測するというものだ。

 「当社は09年の創業以来、約6400社の採用活動を支援してきました。そこで、まずは採用面からAIを活用し、戦略的な人事をサポートしています。もちろん、最終的には先で述べたような一元管理を行い、すべてを担っていく方針です」(古野事業部長)

 これから随時実装していくAI活用サービスとしては、(1)市場の給与情報を分析して求人票を出す際に実施する推定給与予測、(2)評価を採用へフィードバック、(3)ビズリーチ社の採用サービスとの連携による求人票作成時の適性人材レコメンドなどが挙げられるという。現状は採用面でのAI活用にとどまるとはいえ、目に見えた効果も出ているようだ。

 「通常、300人規模の履歴書に目を通すためには2人の採用担当者が必要となりますが、導入された企業の中には1人で対応できるようになったという事例も出ています」(古野事業部長)

 利用は「月額10万円~」となっているが、すでに「HRMOS」は150社以上が導入しており、3年後には2000社規模まで拡大を図る方針だという。

 「効率化と採用力アップの両面から、AIの活用を拡大していく方針です。どこまでを人が担い、どこから先をAIに委ねるかを模索することが今後も最大のテーマとなるでしょう」(古野事業部長)

 このように、米国などと比べれば日本におけるHRテクノロジーに対する取り組みはまだまだ始まったばかりで、AIの採用も部分的なものにとどまっている。とはいえ、今後は次第に加速を増しながら、人事の業務を激変させていくことはほぼ間違いないと言えそうだ。最後に、本格的な実証実験に取り組んでいる日立グループの活動を紹介しよう。

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