中国企業が日本企業から学んだ「イノベーション」の真髄「日中企業イノベーション東京フォーラム」で、熱心に耳を傾ける中国企業の参加者たち
Photo by Bangfu Mo

製造に関わる指揮系統の
幹部全員を送り込む企業も

 前回、東京都内で開催された「日中企業イノベーション東京フォーラム2017」を取り上げた(2017年6月8日付「中国企業が日本の伝統産業の『イノベーション』に受けた感銘」)。その後も、私を惹きつけるものがあったので、今回も引き続き紹介したい。

 このフォーラムには、数十社の中国企業から60人近くが参加していた。そうした企業の中に、大変珍しいケースが2件ほどあった。

 民営企業が多い浙江省と、中部地域の安徽省の企業だ。製造現場の若い責任者から社長に至るまで、それぞれ7~8人の参加者を送り込んでいたのだ。これは、製造にかかわる指揮系統の幹部全員を、日本に送り込んでいたと見ていい。

 私の知る限り、日本企業を訪問・視察する視察団のほとんどは、経営者ら企業の上層部で構成されるケースがほとんどで、日本流で言えば、現場の課長クラスに相当する管理職まで連れてくることは極めて珍しい。

 そのうちの1社は以前、このコラムでも取り上げたことのある浙江省義烏市の「双童」だ(2016年4月14日付「雑貨の街『義烏』で見た中国企業の革新と旧態依然」)。