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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国の高速鉄道事業はもう一度、日本から謙虚に学べ

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第299回】 2017年2月17日
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上海駅に停車する中国の新幹線

 中国の春節(旧正月)期間は大体、大晦日から旧暦の1月15日までとされている。しかし、「春運」(春節期間中の運送という意味の言葉の略語)、つまり民族大移動と言われるまでの春節期間中の交通繁忙期はもっと長い。大体、旧正月の前の15日から後25日頃までの約40日といったところだ。

 具体的な統計データはまだ出来上がっていないが、今年の春運期間中は30億人の移動があったと見られている。そのうち、バスが約25億人、鉄道が約3.5億人、飛行機が0.5億人、船が0.4億人の移動を背負っていた。

 鉄道の移動においては、近年、中国版新幹線とも言われる高速鉄道の利用はたいへん人気を得ている。速度が速いだけではなく、定時運行による信頼感と移動期間中の快適さが人々を虜にした。確かに乗車料金は在来線より高くなるが、所得の向上によりそれは大きな障害にはならなくなっている。

 春運が始まった頃、中国のネットで数枚の写真が話題になった。南京など主要鉄道駅に数十列の高速鉄道の車両が並んでいる風景だが、中国の高速鉄道の規模を無言で伝えている。これらの写真を目にした私の胸中には感慨深いものが去来する。

 2016年9月10日、河南省鄭州市から江蘇省徐州市までの361キロの高速鉄道が開通した。これで中国の高速鉄道路線の総延長が2万キロを突破し、世界最長の記録を不動のものにした。日本の新幹線の総延長が3000キロ未満ということを考えると、その規模の大きさは印象的だ。

リニアか新幹線か──
当初はリニアが先行

 しかし、わずか15年前の2002年の時点で、中国はまだリニアモーターカーにすべきか、それとも新幹線のような在来技術による高速鉄道にすべきかといった論争に明け暮れていた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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