「日本人悪人説」は過去、訪日旅行ブームが上海人の意識を変えた上海の若者のほとんどが日本に旅行に来ている時代だ
Photo by Konatsu Himeda

「ポスト爆買い」が上海市場をどう変えたのか、先週はこれについて現地で座談会をした際の模様を記事にした(2017年6月16日付け「上海の日本食品最新事情「日本ブランド絶対神話」は健在」)。その舞台は、“日本式デパ地下”を売りにする久光百貨店だが、03年の開業時期が日本の「観光立国化宣言」と時期が重ったこともあり、上海で日本ブランドの発信基地として急成長した百貨店でもある。

 拙筆のコメント欄に「懐かしい」という書き込みを頂戴したように、上海に駐在された方、あるいは出張された方の中には「お世話になった」と回顧される方も少なくない。筆者もまたその一人で、久光百貨は常に新鮮な話題を提供してくれた百貨店であり、今でもウオッチの対象であり続けている。

 日本産のコメやりんごも、久光百貨を通して中国市場に発信されたが、東日本大震災の原発事故で日本からの貨物の輸入は停止、その後、中国側が福島県を含む10都県からの食品輸入を規制したことで、日本食品の中国での販売は見通しが立たなくなってしまった。これに追い打ちをかけたのが12年の反日デモであり、日本ブランドは完全に出鼻をくじかれる格好になってしまった。

 しかし、日本への悪感情は持続せず、14年から一転して「訪日旅行ブーム」が沸き起こり、「爆買い現象」まで生んだ。今では「上海市民ならたいていの人が日本に行ったことがある時代」となり、上海市場は再び日本ブランド、特に「日本の食」を渇望するようになった。