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国が破綻するどころか、むしろ再建がスムーズに?
ソブリン危機で恐怖が一人歩きした「デフォルト」の真実

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第186回】 2011年8月2日
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 最近、ギリシャやポルトガル、アイルランド、さらには米国において、国の財政リスク=ソブリン・リスクが高まり、株式や為替などの金融市場が不安定な展開になっている。

 欧州と米国の財政危機はすんでのところで回避されたが、今回の騒動では「デフォルト」(債務不履行)という言葉が一人歩きし、市場の不安を煽った印象がある。デフォルトとはいったいどういう状況であり、当該国や市場にとってどれほどのインパクトをもたらすものなのか。改めて考えてみよう。

一言で「デフォルト」と言っても、
国の資産や国土をとられるわけではない

 国がデフォルト=債務不履行になるということは、当該国が発行した国債の元利金の支払いができなくなったり、年金の給付などの支払いができなくなることだ。

 ただし、一般企業などのデフォルトとは違って、国が保有する資産が差し押さえられたり、国土の一部を失ってしまうことにはならない。具体的には、財政の立て直しなど一定の条件と引き換えに、IMFなどの国際機関によって救済策が策定されることになる。

 国際機関から救済を受けること自体、当該国にとってかなり不名誉なことであり、世界の主要国としては、そうした事態の発生をなんとか避けようとするのは当然だ。それと同時に、債券保有者などの関係者の間で、当該国がすでに抱えている借金返済に関するリスケジュール(返済計画の変更)や、一部借金のヘアーカット(棒引き)が策定されるケースが多い。

 国がデフォルトを起こすと、当該国は一時的に厳しい資金繰りから解放される可能性が高い。しかし一方、大きなデメリットもある。それは、国としての威信に傷がつくことに加えて、それ以降の資金調達に障害が出ることだ。

 デフォルトを起こすと、当然信用力が低下し、格付けもダウングレードになる。そうなると、高い金利の支払いをしないと必要な資金の調達ができなくなる。極端な場合には、高い金利を払ったとしても国債の発行ができない、つまり資金調達ができなくなることが考えられる。その場合には、当該国の経済に大きな制約がかかることになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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