静岡県知事続投で浜岡原発“塩漬け”、中部電力の苦境

 中部電力とっての今後4年間は、再び憂鬱なものとなりそうだ。

 6月25日に投開票が行われた静岡県知事選挙で、無所属で現職の川勝平太氏が当選した。川勝氏は今回の選挙戦を通して、一貫して中部電の浜岡原子力発電所について「再稼働を検討できる段階にはない」と明言。当選後の定例記者会見でも、現時点では再稼働を認められないという考えを改めて示している。

 原発再稼働には立地する都道府県知事の承認が必須で、電力会社にとって知事は、再稼働可否を実質的に判断する最重要人物。中部電は現在、浜岡原発3、4号機の再稼働へ向けて、原子力規制委員会で新規制基準適合の審査を受けるなど準備を進めている。だが、知事に川勝氏が就任することになったため、少なくとも今後4年間は再稼働できる可能性が極めて低くなった。

 そもそも、浜岡原発の再稼働にはいくつもの高い壁が立ちはだかっていた。例えば浜岡原発から30㌔㍍圏内にある11自治体のうち、3市が再稼働に反対している。さらに、5月25日に原子力規制委で行われた4号機の審査会合で、規制委からは「新規制基準の基本的な考え方が理解不足だ」と厳しい批判を受けたばかりで、審査対応にも手間取っていた。

 現在、沸騰水型原子炉(BWR)では、原子力規制委に7原発9機が再稼働へ向けて新規制基準の適合性審査を申請している。その“審査レース”では、東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発6、7号機が一番手でもっとも進んでおり、二番手として日本原子力発電の東海第2原発、そして三番手グループとして東北電力女川原発2号機と中国電力島根原発2号機、浜岡原発3、4号機となっていた。だが、前述した状況に加えて、今回の川勝氏の知事就任により、三番手グループからの脱落も濃厚で、浜岡原発の“塩漬け”は確定的だ。