10日に開催された加計学園問題を巡る閉会中審査。この中で出た、前愛媛県知事の貴重な証言を朝日や毎日などが「黙殺」するという事態が起きた。読者が嫌う「偏向報道」だが、それ以上に朝日のスタンスには大きな問題がある。(ノンフィクションライター 窪田順生)
朝日と毎日が前愛媛県知事の
発言を「黙殺」
前川喜平・前文部科学省事務次官のロジックにならえば、こっちの話も「はじめから結論ありきで、不透明なプロセスのなかで報道が歪められた」ということになるのではないか――。
10日に開催された加計学園問題をめぐる閉会中審査に出席した、加戸守行・前愛媛県知事の発言を朝日新聞や毎日新聞などが「黙殺」したことがネットで話題になっている。
ご存じの方も多いと思うが、加戸前知事は12年前から今治市へ獣医学部を誘致するために「岩盤規制」をこじ開けようとしていた方で、文科省の後輩にあたる前川喜平・前事務次官の主張をかねてから「全否定」している。閉会中審査でも以下のように「前川ロジック」をメッタ斬りにした。
《『加計ありき』と言いますけど、12年前から声をかけてくれたのは加計学園だけであります。
私の方からも東京の有力な私学に声をかけました。来ていただけませんかと。けんもほろろでした。結局、愛媛県にとっては12年間加計ありきでまいりました。いまさら、1、2年の間で加計ありきではないのです》
《行政が歪められたという発言は、私に言わせると少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けていただいたということで、歪められた行政が正されたというのが正しい発言ではないのかなと思う》
この主張が正しいかどうかはさておき、今回の問題の「舞台」である愛媛県の首長として、長くこの問題に主体的に関わってきた「当事者」の言葉であることは間違いない。つまり、我々国民がこの問題を自分の頭で考え、判断をするにおいては、極めて重要な証言なのだ。