加計学園問題について、10日に国会で参考人招致が行われた。

 国家戦略特区で、加計の獣医学部設置を柱にした今治市の構想が認められるまでの事実関係は、国家戦略諮問会議のワーキング委員会座長だった八田達夫氏のダイヤモンド・オンラインでの記事『「加計学園の優遇はなかった」内部から見た獣医学部新設の一部始終』(7月12日付け)のとおりである。これは公表された議事録を見ればすぐわかる。

 筆者も議事録を見て、本コラムに書いてきた(『加計問題「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えだ』『加計学園の認可は「総理の意向」の前に勝負がついていた』)。

 そうすれば「総理の意向」が介在する余地のないことはわかる。

設置申請ができない「告示」
規制緩和を求めた内閣府

 この話の構図を簡単に言おう。国家戦略特区法は、規制の緩和をするためにツールだ。この場合、対象となっている規制は、文科省告示(平成15年3月31日文部科学省告示第45号)である。

 筆者はこの告示を読んで驚いた。獣医学部の設置は、医大の設置などとともに、設置認可を申請してはいけない、というのだ。

 官僚の常識から判断すれば、認可制度がある以上、申請を受け付けないという規制はあり得ない。