経営 X 人事

「承認」とは部下を褒めることではない~ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏

B:「前回の商談のとき、できるだけ多くの判断材料が欲しいと先方から言われたので」

A:「そうでしたか。だから詰め込んじゃったんですね。理由が理解できました。だだ、今回の趣旨に照らすとどうですかね」(※2)

B:「確かに、前回とは状況が異なるので、シンプルなほうがよいかもしれません」

A:「さっきまでの不安そうな表情はなくなりましたね。自信が出てきたんじゃないですか」(※3)

B:「はい。修正ポイントが明らかになったので気持ちが少し楽になりました。ありがとうございます」

 上司であるAさんが、一応合格水準に達しているドラフトにフィードバックを行ったケースです。まず、良い悪いには言及していません。取り立てて褒めるほどのレベルではないからです。しかし、少なくとも3つのポイントについて承認しています。

1.Bさんの現在の実力に照らせば十分な努力が認められることを伝えたこと(※1)
2.Aさんから示唆を与えるよりも先に、Bさんの進め方の意図を確認したこと(※2)
3.Bさんが再考する様子を見ていて気がついた表情の変化をフィードバックしたこと(※3)

 繰り返しますが、これらはいずれも褒めてはいません。しかし、いずれもBさんをモチベートする行為になっています。

 上では「一旦受け止めること」と表現しましたが、さらに一歩進めると、受け止めたことを相手にもわかるように示すこと、つまり「観察して得られた事実を言葉にして伝えること」だと言い換えることもできます。

経営 X 人事 特集TOPに戻る

 


ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏

人事の領域で職場内コミュニケーションの手法として関心を集めつつあるヤフーの1on1ミーティング。3月に仕掛け人である同社上級執行役員・本間浩輔氏による『ヤフーの1on1』(ダイヤモンド社)が刊行され、そのノウハウが明らかにされた。本連載は、本に書き切れなかった1on1のあれこれを、本間氏とともに社内での普及を進めたスタッフである吉澤幸太氏に語ってもらう。

「ヤフーの人材育成「1on1」の舞台裏」

⇒バックナンバー一覧