ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
出口治明の提言:日本の優先順位
【第18回】 2011年8月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

メディアが民主党代表選の争点だと煽る「大連立」は、
政策遂行の手段に過ぎない。争点は「政策」のはず

1
nextpage

 菅首相は8月10日、いわゆる「退陣3条件」のうち、残っていた特例公債法案と再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の成立に合わせて退陣する考えを明言した。すでに両法案については、民主・自民両党が今月26日までに成立させることで合意しており、これで菅首相の月内退陣は確実な情勢となった。

 新首相を選ぶ民主党代表選は月内にも行われる見通しとなっており(28日の代表選実施、月内の首相指名等が想定されているようだ)、早ければ月内にも新首相が誕生することになる。

先行する野田財務相は大連立を志向

 このような状況の中で、民主党代表選で先行する野田財務相は「もっと意思決定を迅速にでき、互いに責任を持ち合う体制がいい」と語り、自民・公明両党との大連立を目指す考えを明らかにした。報道によると岡田幹事長や前原前外相も大連立には前向きのようだ。またメディアも「大連立が代表選の焦点になる」等と、一緒にはやし立てている。

 ちょっと待ってほしい。大連立は、円滑な政策遂行のための一つの手段あるいは方便ではあるかも知れないが、いかなる意味でも政策ではあり得ない。

 いやしくも、一国のリーダーを新しく選ぶのであるから、政策の対立軸を少しは明確にして正面から政策論争を行ってほしいと願うのは、はなから無理な相談なのだろうか。せめてメディアはそのことをはっきりと指摘すべきではないのか。

 そういったジャーナリズムとしてのごく基本的な視点をも忘れ去り、「大連立が代表選の焦点」等と無自覚に書き散らかすようなメディアなら、一体どこにメディアとしての存在意義があると言うのだろうか。

 メディアに期待が持てないのであれば、私たち市民が政策論争の枠組みを提示する他はない。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

⇒バックナンバー一覧