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うつ病を客観的に診断するための足がかり
光トポグラフィー検査の実力

武田京子 [毘沙門堂編集記者]
【第8回(最終回)】

 実際の検査の方法は簡単で、近赤外線を照射、検出する装置がついたキャップを頭にかぶり、例えば「お」で始まる名詞を可能な限り答えるといった課題を3回行うだけである(写真)。

光トポグラフィー検査(写真提供:日立メディコ)

 課題を行っている時間はわずか3分ほど。検査前の説明などを含めても、15分程度で終了する。そして課題中、課題後の大脳の血流の状態を検出するのである。注射針を刺したり放射線を照射するなど、体への負担もない。

 ただし、「光トポグラフィー専門外来では、検査に影響を及ぼす眠気や抑うつの程度などを調べる検査、心理テストなども行う。それらすべてにかかる時間は、1時間ほど」と光トポグラフィー検査の先進医療の承認施設の一つ、国立精神・神経医療研究センターの臨床検査部長で精神科外来の吉田寿美子医長は説明する。

 「光トポグラフィー検査のメリットは、なんといっても客観的なデータが出ること。それによって、うつという病気を受け入れられなかった患者さんが、光トポグラフィーの検査結果を見ることで病気であることを認め、積極的に治療を受けるようになることがある。また、うつ病では、家族や周囲の人も患者さんが病気であると理解できることで療養しやすい環境を整えるのにも役立つ」と吉田医長は語る。

 また、うつ病と診断されていた患者が実はうつ病と似ているが、治療法の異なる躁うつ病であることがわかったケースもあり、その後適切な治療を受けられるようになったという。

 光トポグラフィー検査の課題は、先進医療の項目で「鑑別診断補助」となっているとおり、この検査だけで診断がつくわけではない点だ。

 吉田医長は、「国立精神・神経医療研究センターでの昨年までの実績(約200例)では、鑑別の精度は躁うつ病が8~9割、うつ病が7~8割といったところ。統合失調症についてはまだデータがそろっていないが、おおむね6~7割と考えられる。今後、全国でデータが蓄積されれば、精度も上がるのでないか」と話す。

 国立精神・神経医療研究センターではより多くの医療機関で光トポグラフィー検査を正確に行えるように、光トポグラフィーの波形の読み方に関するセミナーを開催するなど、医療従事者教育にも力を入れているという。

 先進医療の光トポグラフィー検査を受けられるのは、抑うつ症状がある人で、統合失調症や気分障害が強く疑われる人に限られる。検査費用は、各病院により異なるが、国立精神・神経医療研究センターでは1万3300円。これに初診料などの保険診療分の費用が加わるので、約1万5000円が実際に支払う費用となる。

 また、この検査を受けるには、主治医からの紹介状が必要だ。同院では、検査日の1ヵ月前に予約を受け付けるが、受付開始から20分で予約が埋まるという。8月1日現在、先進医療として光トポグラフィー検査を受けられるのは、群馬大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院、近畿大学医学部附属病院など、全国に12施設ある。

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武田京子 [毘沙門堂編集記者]

総合医学出版社・毘沙門堂の編集記者。新聞系出版社で医学専門雑誌、医療・福祉施設向け経営誌、健康雑誌などの記者として、医療・健康分野での取材・編集キャリアを積む。現在は、医学専門誌、消費者向け健康誌、一般紙などを通じ、様々な読者層に向けて、医療、健康分野に関する記事を発信している。


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