高等教育(大学)の無償化の本質的な議論のために、前回は、日本の国や社会が教育に投資する際の規模がどれくらいであるべきなのか、私の意見とともに材料を提示させてもらいました。今回は、投資にあたって、何を重点的かつ優先付けすればいいのか、第二の論点から述べてみたいと思います。

 拡大か?維持か?大学への投資額の増減方針が決まったとして、次に、投資の重点をどこに置くか整理が必要です。トップクラスの大学、平均的な大学、ボトムの大学、理系?文系?どのレベルを重視するか、優先順位とウエイト付けを決めなければなりません。

ノーベル賞輩出は戦後投資の成果
先細る日本の背後に迫る中国の影

 現状はどうなっているでしょうか?

 日本の特徴は、理系教育と文系教育のアンバランスです。まずトップ大学の理系教育については、戦後50年間ほどは、しっかり投資してきたので、世界に伍して頑張っています。

 例えば、東京大学。文系の影響で全体の世界でのランキングは下がっていますが、理系に絞れば東京大学は今でも世界トップ10に入っています。東大理系に集中投下してきた成果です。さらに、地方国立大学理系出身者の方々が何人もノーベル賞を受賞されていることからも明らかなように、20世紀の日本は、地方国立大学理系にも投資をしっかり行ってきましたので、2000年頃までは、悪くありませんでした。

 高等専門学校の質も世界で注目されています。諸外国からも、高専を作ってほしいという要請がひっきりなしに来ていますし、産業界からの評価も高く卒業生も引く手あまたとなっています。旧帝大、地方大学、高専が、連携しながら、わが国の産業基盤をささえる人材をしっかり輩出してきました。だから、世界一の工業立国・経済大国となれたのです。

 しかも、大学への投資額も他国に比べると割安で、投資対効果は先進国中で最もよかったともいえるでしょうし、一年間50万円余の授業料で(つまり、アメリカの十分の一で)、世界トップクラスの理系教育が受けられるのは、素晴らしいことだと思います。