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なでしこジャパンはなぜ諦めなかったか
佐々木監督に学ぶ「思い込み排除」の重要性

川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]
【第80回】 2011年8月29日
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「言うは易く行なうは難し」
それでもなでしこジャパンが勝てた理由

 「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」

 パナソニックの創業者である松下幸之助氏が残したこの言葉は、多くの方々が耳にしたことのある名言だと思います。ただし、実際にやる側になると、数多くの困難に直面することも確か。「どうやって“諦めない”組織をつくるか」は、多くのリーダーが頭を抱える課題です。

 先日、奇跡のワールドカップ制覇を成し遂げた「なでしこジャパン」 のメンバーたちの“諦めない”姿勢に感動した方はとても多いと思います。それは、“諦めない”気持ちを持ち続けることの難しさを誰もが知っているからではないでしょうか。

 なでしこジャパンを率いる佐々木則夫監督の戦略は、「対戦相手のパス回しを中央に誘いこんでボールを奪い、素早く攻撃に転じる」でした。

 これには2つの理由があります。まず、相手のボールをフィールドの中盤でインターセプト(敵のパスを奪う)してからの攻撃は、ディフェンスからボールを押し上げていくケースと比較すると、ゴールを奪う確率が格段に上がること。もうひとつは、なでしこジャパンのメンバーと欧米強豪国との体格差を考えると、相手が外(ライン側)を駆け上がり、センタリングを上げられて空中戦になった場合にどう考えても不利であること、を認識していたからです。

 特に2つめに関しては、「ディフェンスは(フィールド)中央を敵に突破されると、ピンチになりやすいから出来る限り外に出そう」という常識的なスタンスを持っていたならば、なかなか出てこないアイデアだと思います。しかし、それが出てくるところがチームを勝利に導くリーダーたる所以なのでしょう。

 とは言え、「言うは易く行なうは難し」。実際にプレイする選手たちは当初はなかなかできなかったようですが、練習はもちろん、試合後のビデオによる振り返りなどを繰り返しながら、「ここでパスを出すはず」という事前察知能力を磨き続けることで、戦略を実行できる組織へと育っていったのです。

 このように、ワールドカップ制覇というなでしこジャパンの偉業は、「正しい事実の把握」、「その事実をどう認識するか」、「勝てるイメージを持てる戦略」、「実行精度を高める訓練」というビジネスでも重要な要素が網羅されている点で、大いに参考になります。

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川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]


1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられ、組織を動かす原動力へと変えていく。
最新著に『絶対に断れない営業提案』(中経出版)がある。

【関連サイト】『経営参謀の視点』※毎週月曜日更新 

 


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