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櫻井よしこの論戦――頼るな、備えよ
【第1回】 2017年8月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
櫻井よしこ [ジャーナリスト]

「安倍下ろし」歪曲報道パニックにみる
10年前と酷似したメディアの構図

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加計問題はまったく別の角度
からの究明・報道が必要

だが、愛媛県の畜産農家の実情を見つめてきた加戸氏は、知事時代に鳥インフルエンザも経験し、獣医師は絶対的に不足していると強調する。少ない人数の獣医師が皆、倒れそうになるまで働いているのを見ながら、加戸氏は獣医学部新設を許さない鉄の規制、獣医師会と文科省をどれだけ恨めしく思ったかしれないと、語る。いちばん強く反対したのが日本獣医師会だと、加戸氏は本当に口惜しそうに語った。

2年前の2015年9月9日、地方創生担当大臣だった石破茂氏を、「日本獣医師政治連盟」委員長の北村直人氏らが訪ねたときの様子が、日本獣医師会のホームページに掲載されている。石破氏の言葉としてこう記されている。

 「今回の成長戦略における大学学部の新設の条件については、大変苦慮したが、練りに練って誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」

獣医学部新設を絶対に阻むべく、規制を強めたと言っていることが窺える。具体的にはそれは獣医学部新設のハードルを上げてきわめて困難にした「石破4条件」を指すとされている。

石破氏はそのような発言はしていないと、全面的に否定するが、上の引用は日本獣医師会のホームページに石破氏の発言内容として公開されているものだ。真の悪者は獣医師会であり、その獣医師会に石破氏が協力したということを示す資料ではないか。これが事実なら、加計学園問題はまったく別の角度から報道しなければならない。

こうした背景のなかで、加計学園がようやく新設を許可されることになった。それが安倍首相の圧力の結果だと、「朝日新聞」はじめ大半のメディアは安倍批判を強める。果たして安倍首相は不当な圧力を加えたのか。

実際にこの問題を取り扱ったワーキンググループの一員、原氏が説明した。

 「絶対にそんなことはありません。獣医学部新設の提案は、新潟市、今治市と京都の綾部市からありました。綾部市は京都産業大学を念頭にしていたのですが、7月14日に正式に提案を撤回しました。新潟は申請自体が具体化していません。結局、充実した案を示したのが今治市と加計学園のチームでした。今治市はもう10年以上も申請を続け、それだけに学部の内容も練り上げていました。ほかの申請者とは熟度がまったく違いますから、彼らが選ばれるのは当然です。安倍首相の個人的思いや友人関係など、個人的条件が入り込む余地などまったくありません」

加戸氏も、国家戦略特区で今治市と加計学園による獣医学部新設が認められたことで「歪んでいた行政が正された」と語り、官邸が圧力で行政を歪めたという前川氏発言を真正面から否定した。加戸氏の指摘からも、行政を歪めた張本人は獣医師会であり、さらに文科省であることが窺える。

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    櫻井よしこ [ジャーナリスト]

    (さくらい・よしこ)ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、アジア新聞財団「DEPTH NEWS」記者、同東京支局長、日本テレビ・ニュースキャスターを経て、現在はフリー・ジャーナリスト。1995年に『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で第26回大宅壮一ノンフィクション賞、1998年には『日本の危機』(新潮文庫)などで第46回菊池寛賞を受賞。2007年「国家基本問題研究所」を設立し理事長に就任。2011年、日本再生へ向けた精力的な言論活動が高く評価され、第26回正論大賞受賞。2011年、民間憲法臨調代表に就任。 著書に『論戦』シリーズ(ダイヤモンド社)、『「正義」の嘘』(花田紀凱氏との共著)『日本人のための憲法改正Q&A』(以上、産経新聞出版)、『日本の敵』(新潮社)、『日本人に生まれて良かった』(悟空出版)など多数。


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