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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

墨田区――関東大震災の惨劇を教訓に生まれた「最悪を想定した最善の準備」

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第6回】 2011年8月31日
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 9月1日は防災の日。88年前のこの日、東京は関東大震災に襲われた。関東1府6県の死者数は9万余人。墨田区の南半分に当たる旧本所区だけで4万8400人が命を失った。

 旧本所区でこれほど被害が拡大したのは、避難先で2次災害が発生したため。陸軍被服廠跡の空地(現・横網町公園)に逃げ込んだ人たちを火災旋風が襲い、次々と炎の中に飲み込んでいったのだ。被服廠跡での死者は3万8000人とも、4万人を超えたとも。墨田区民だけでなく、全東京人が決して忘れてはならない記憶である。

関東大震災で膨大な犠牲者を出した街
データから見える高出火リスクとの戦い

 首都直下地震に伴う墨田区内の想定出火件数は、面積1km2当たり4.1件、23区平均の2.5倍に上る。一般に出火の危険度が高くなるのは、小さな建物が密集しているところ、あるいは町工場や危険物施設が多いところだ。

 墨田区は、宅地面積に対するネットの建ぺい率3位、建物の平均敷地規模21位、面積当たりの危険物施設数4位、そして面積当たりの工場数(工場密度)は1位。まさに高出火リスクの条件を備えている。

 一方、延焼の危険度は道路が狭いところ、オープンスペースが少ないところ、木造の建物が多いところなどで高くなる。こちらのデータは、道路率5位、平均道路幅員7位、オープンスペース比率12位、不燃化率10位。オープンスペースがやや少ない以外は、いずれも23区の平均を上回っている。

 そもそも、道路幅員や不燃化率は、都心3区が番外のベスト3。そう考えると、墨田区が営々と取り組んできた防災まちづくりの成果を、このデータから読み取ることができる。

 しかしそれでも、首都直下地震によって区内の建物は2割近くが焼失すると予想されている。近3ヵ年の火災発生状況を見ても、面積当たりの建物全半焼火災発生件数2位、1火災当たりの焼損棟数1位など、リスクは高い。火災との闘いは、今も継続途上にある。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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