
親の遺産相続をきっかけに、兄弟姉妹が揉める……というのはよく聞く話。その原因の1つには「介護への貢献度の違い」がある。心臓疾患を抱える父と、認知症になった母、そしてその介護を全く手伝わない妹を持つ、B子さんの例を見ていこう。※本稿は、姉小路 祐『介護と相続、これでもめる!不公平・逃げ得を防ぐには』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
介護を全く手伝わない妹を
「死んだ」と思うことにした
B子さんには同じ市に実の妹(次女)が住んでいたので、車を持っている妹に「お父さんの定期的通院だけでも助けてもらえないか」と頼んだが、「うちにはまだ手のかかる高校生の子供が居る。それに親の面倒を看るのは長女の役割なんだから」という答えが返ってきた。
やむなくB子さんは父親の通院も担ったが、さらに歩行は不自由となり、母親の認知症も進んだ。B子さんは限界を感じて、どちらかを有料老人ホームに入れることを検討していることを妹に電話で相談したが、猛反対された。
「両親は仲のいい夫婦なのに、離ればなれにしてしまうなんて残酷よ。そんな晩年にしたら、あなたはきっと恨まれるわ」と妹は言い残して、ヨーロッパ観光旅行に旅立っていった。
B子さんは海外はおろか国内旅行も、両親を引き取って以降はできなくなっていた。
B子さんは24時間気が抜けない毎日を、帰国した妹に訴えたが「長女なのに介護を途中で放棄したら、御近所の噂にもなって、あなたが恥ずかしい思いをすることになるのよ」という返答だった。そしてB子さんからの電話が鬱陶しいと思ったのか、何も告げずに電話番号を変えてしまった。