わざわざ利回りを下げるために
信託報酬を払う?

 債券ファンドとはどういうものかというと、年限(満期までの長さ)やリスクの異なる債券を組み合わせてポートフォリオを組んだものです。

 たとえば、10年債(満期まで10年の債券)が2%、20年債(満期まで20年の債券)が3%、30年債(満期まで30年の債券)が4%の金利の時にこれらをミックスしたポートフォリオを組みます。

 みなさん、このポートフォリオに素朴な疑問をいだきませんか?

「30年債だけ買えば4%で運用できるのになんでミックスするの?」

 ですよね。30年債だけに投資すれば4%で回せるのにそれぞれの年限をミックスするのが投資信託なのです。先の例で、年限別に3分の1ずつ投資すると、平均の金利は3%になり、さらに1%近い手数料を別途取られますのでリターンは単純に言うと2%程度でしょう。

「じゃ、なんでポートフォリオを組むの?」

 投資信託はそのパフォーマンスを常にチェックされています。
市場金利が上昇した時に時価評価されると、ファンドの評価額が下がっていて見てくれが悪いので、金利上昇のリスクを軽減するためにポートフォリオを組むのです。
金利の上昇時は満期まで長期の債券であればあるほど、評価額は悪くなります。なので、それに備えて短期の債券をミックスしたポートフォリオを組むのです。

※ ファンドはたくさんの債券を保有しています。それぞれの債券は「満期と金利」が決まっており、満期までの間、決まった金利を受け取れるのは前述の通りです。しかし、ファンドは毎日、保有している債券について、「もし、今、市場で売ったとしたらいくらになるか」という数字を発表しなければなりません。実際には売らないけれども、売った場合の価格を時価評価額として発表しなければならないのです。この価格がダダ下がりだと非常に格好が悪く、場合によってはファンド・マネージャーの出世に響きます。そこで、あらゆる場合に備えて、年限の違う債券に分散投資するのです。

 ファンドの購入者にしてみれば、余計なことに手数料を払うだけです。
それをやめて自分で30年債を買って保有しておけば信託報酬も必要ないので、間違いなく4%で回ります。

 どうして、わざわざ信託報酬を払って、利回りを下げるために、債券ファンドを買う必要があるのでしょう。