サバ養殖の高額エサ問題を救う、ある食材の「副産物」とはSABAR阪急三番街店      Photo by Hatsuyo Hashinaga

サバに特化したビジネスで快進撃を続けるサバ料理専門店「SABAR」。事業に共感する個人から投資を募るクラウドファンディングの活用でも注目を集める同店は、いま過去最高額となる1億1380万円のファンドを募集中だ。飲食業の範ちゅうにとどまらず、サバの安定供給をめざした新たな仕組みづくりは、漁業のイノベーションにもつながると期待が高まっている。最終回は、日本の漁業の在り方を変えるかもしれない右田孝宣社長の挑戦に迫る。(フリーライター 橋長初代)

大阪・阪急三番街の新店は
「鯖街道」がコンセプト

 4月2日、大阪梅田の阪急三番街にSABARの新店舗がオープンした。店舗ごとにコンセプトが異なるSABARだが、今回のテーマは「鯖街道」の宿場町。店内の壁全面には、その昔、若狭(福井県小浜市)と京の都をつないだ鯖街道の様子が面白おかしく描かれている。

 お勧めは、サバを丸ごと串に刺して焼き上げた「浜焼き鯖」や、ぬか漬けにした珍味「へしこ」、へしこをさらに発酵させた「なれずし」など。酒がすすみそうな若狭の伝統料理がウリで、SABAR全店のなかでも同店でしか味わえない。

「こうやってほぐしてから食べるんです。浜焼き鯖は、小浜の地元で有名な店で焼き方を習ってきました」