経営×物流
「経営×物流」日本の企業経営には物流戦略が足りない
【第4回】 2017年8月22日
著者・コラム紹介 バックナンバー
西村 旦 [カーゴニュース編集長]

ヤマト、アマゾンとの交渉での「強硬な値上げ姿勢」が持つ意味

ヤマトとアマゾンとの料金交渉のゆくえは?

 ヤマト運輸とアマゾンとの料金交渉がヤマ場を迎えている。

 ヤマトはいま、通販など大口顧客約1000社との間で値上げ交渉を進めているが、その“本丸”と言えるのがアマゾン・ジャパン。宅急便総取扱個数の15%近くを占める最大顧客であるため、値上げ戦略の成否が同社との交渉にかかっている。

 ヤマト、アマゾンとも、交渉の具体的な内容については明らかにしていない。関係者は「個別案件であり、交渉がまとまったか、まとまっていないかについても発表できない」と語っており、仮にまとまったとしてもオープンにされることはない。

 ただ、複数関係者からの情報を総合すると、8月中旬時点で最終的な合意に達しておらず、交渉期限である9月末まで残された時間は少なくなっている。

 両社の交渉内容を改めて確認しておくと、主なポイントは「運賃」と「総量抑制」の2点だ。

 まず「総量抑制」だが、ヤマトは4月にデリバリー事業の構造改革を発表した時点で、今期の宅急便取扱個数を前期と比べ8000万個減らす方針を打ち出した。だが、4月以降も取扱個数は前年実績を上回る状況が続いており、ヤマトは7月末の第1四半期決算発表で、削減目標を4000万個に下方修正した。

 4000万個の内訳こそ不明だが、値上げ交渉を進めている1000社の大口顧客が対象であり、そこにアマゾンが含まれていることは間違いない。年間で4000万個減らす場合、上期中に増加した分を含めると、下期だけで3倍以上の1億5000万個程度を削減する必要がある。関係者は「比率から言っても、アマゾンに3000~4000万個の削減を要請せざるを得ないのではないか」と推測する。

 「運賃」についてもシビアな交渉が避けられない。

 すでに1000社の大口顧客の中からは、「ヤマトの要求通りの値上げを飲ませられた」といった声が上がっており、ヤマト側が不退転の決意で臨んでいることがうかがえる。

経営×物流トップへ

カーゴニュース

Special Columns         <PR>

 

 

 

 

 

西村 旦 [カーゴニュース編集長]

カーゴニュース編集長。1969年生まれ。92年株式会社カーゴ・ジャパン入社。『カーゴニュース』編集部記者として、物流事業者、荷主企業、関係官庁などを幅広く担当。2011年代表取締役社長兼編集局長に就任。同年、幅広い交通分野での物流振興を目的として創設、優良な論文などを顕彰する「住田物流奨励賞」(第4回)を受賞。
 


「経営×物流」日本の企業経営には物流戦略が足りない

日本の産業界を支える物流機能。EC市場、通販市場の急速な拡大等によって経済情勢が大きく、速く変化していく今、企業経営者は競争力を左右する重要な経営戦略として「物流」を捉えることがますます重要になっていく。「経営×物流」では、企業経営における物流戦略の在り方、その戦略を支える物流業界のあるべき姿を考えていく。
 

「「経営×物流」日本の企業経営には物流戦略が足りない」

⇒バックナンバー一覧