ヤマト、アマゾンとの交渉での「強硬な値上げ姿勢」が持つ意味

ヤマトとアマゾンとの料金交渉のゆくえは?

 ヤマト運輸とアマゾンとの料金交渉がヤマ場を迎えている。

 ヤマトはいま、通販など大口顧客約1000社との間で値上げ交渉を進めているが、その“本丸”と言えるのがアマゾン・ジャパン。宅急便総取扱個数の15%近くを占める最大顧客であるため、値上げ戦略の成否が同社との交渉にかかっている。

 ヤマト、アマゾンとも、交渉の具体的な内容については明らかにしていない。関係者は「個別案件であり、交渉がまとまったか、まとまっていないかについても発表できない」と語っており、仮にまとまったとしてもオープンにされることはない。

 ただ、複数関係者からの情報を総合すると、8月中旬時点で最終的な合意に達しておらず、交渉期限である9月末まで残された時間は少なくなっている。

 両社の交渉内容を改めて確認しておくと、主なポイントは「運賃」と「総量抑制」の2点だ。

 まず「総量抑制」だが、ヤマトは4月にデリバリー事業の構造改革を発表した時点で、今期の宅急便取扱個数を前期と比べ8000万個減らす方針を打ち出した。だが、4月以降も取扱個数は前年実績を上回る状況が続いており、ヤマトは7月末の第1四半期決算発表で、削減目標を4000万個に下方修正した。

 4000万個の内訳こそ不明だが、値上げ交渉を進めている1000社の大口顧客が対象であり、そこにアマゾンが含まれていることは間違いない。年間で4000万個減らす場合、上期中に増加した分を含めると、下期だけで3倍以上の1億5000万個程度を削減する必要がある。関係者は「比率から言っても、アマゾンに3000~4000万個の削減を要請せざるを得ないのではないか」と推測する。

「運賃」についてもシビアな交渉が避けられない。

 すでに1000社の大口顧客の中からは、「ヤマトの要求通りの値上げを飲ませられた」といった声が上がっており、ヤマト側が不退転の決意で臨んでいることがうかがえる。