4-6月期のGDP統計の改定が発表された。
ほとんどすべての需要項目が対前期比でも、対前年同期比でも減少している。
実質GDPは、対前年同期比では1.1%の減、前期比年率では0.54%の減となった。
対前年同期比を項目別に見ると、【図表1】のとおりである。
純輸出の22.6%減が際立っている。これは、輸出が5%減少し、輸入が3%増加したためである。
内需項目では、公的資本形成の4%減と設備投資の1.3%減が目立っている。
これは、今回の復興過程の特性を明確に物語っている。復興過程が始まっているのであれば、これらの項目はかなり高い増加率を示していなければならないからだ。実際、阪神淡路大震災の時にはそうしたことが生じた(【図表1】の下段参照)。
なお、住宅と公的資本形成は、前年同期比で見るか、前期比年率で見るかで違う。住宅投資は、対前年比で見れば増加したが、前期比では減少した。公的資本形成は、対前年比で見れば減少したが、前期比では増加した。
なぜ復興投資が増えないのであろうか。
民間設備投資が増えないのは、日本企業が国内投資でなく、海外移転を進めていることの結果であろう。
公共事業が増えないことについて、政治の責任は、否定しようがない。これまで補正予算は2回編成されたが、いずれも本格的な復興事業を含むものではなかった。「復旧でなく復興」と言われたのだが、復旧さえ行われていないのが実態なのである。
3次補正が10月中に編成されることとされており、事業規模は10兆円などと言われている。しかし、財源手当てについて、いまだに方向付けさえできていないのが実情だ。
住宅投資の遅れは、都市計画の遅れが大きな原因と考えられる。これも政治の責任である。