ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

港区――安全なイメージが強い超セレブ地区に潜む「意外なリスク」

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第9回】 2011年9月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 「おしゃれなまち」には、坂道がよく似合う。東京一、いや日本一セレブな港区も坂のまちだ。23区の中で最も起伏に富んだ地形が、まちの広がりに絶妙のアクセントを与えている。名前がついた坂の数だけで、ゆうに100を超える。

 だが、「坂道のまち」はそれ故の災害リスクも抱えている。がけ崩れのリスクだ。

「坂のまち」に潜む意外なリスク
震災時はエレベーターへの閉じ込めも?

 傾斜度30度以上、高さ5m以上で、人家などに被害を及ぼす恐れがある急斜面を、「急傾斜地崩壊危険箇所」と言う。23区内に592ヵ所、その2割に当たる118ヵ所が集中する港区では、首都直下地震が引き起こすがけ崩れによって、350余棟の建物が全壊すると想定されている。雨が降り続いて地盤が緩んでいるときに地震が発生したら、被害はもっと大きくなるかもしれない。

 がけ崩れで恐ろしいのは、死亡事故に直結する可能性が高いこと。東京都の想定でも、首都直下地震による港区内の死者の4割が、がけ崩れによるものとされている。東京のど真ん中でがけ崩れとは、何とも意外なリスクである。

 坂下の谷沿いをはじめとした低地部を中心に、揺れによる被害も大きい。芝地区、芝浦・港南地区など区の東部一帯は、液状化現象の発生も懸念される。揺れ、液状化、がけ崩れを合わせた全壊建物の想定数は、区内の建物の6%、その数は2000棟を超える。

 ただし、火災による焼失面積は0.7%に留まる。予想される焼失棟数は500棟を上回るが、大きく燃え広がる危険が少ないから、逃げる余裕がある。死傷者の内訳に占める火災の割合は0.3%だ。身を守るという側面から見る限り、火災のリスクは低いといってよさそうだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

「東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力」

⇒バックナンバー一覧