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マイホームはこうして選びなさい
【最終回】 2011年9月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
長嶋 修 [株式会社さくら事務所 代表取締役社長]

一生賃貸派が増えてきた。マイホーム派はどうする?!

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新設住宅着工戸数は、ついに80万戸台(年間)があたりまえになりつつある。今年は少しばかり上向くことが予想されるが、もうかつてのように100万戸を上回るようなことは二度とないだろう。なぜなら、住宅市場の根本的な構造変化が起きているからだ。持家vs賃貸、さてどちらにするべきか。

「景気対策」に使われた住宅政策

 住宅政策は長らく景気対策の道具として弄ばれてきた。景気後退局面では必ず「住宅政策は経済波及効果が高い」「生産誘発効果が大きい」として新築住宅の建設、販売に焦点があてられ、金融緩和や税制優遇などを利用してきた。というのも、住宅がひとつ売れると生産誘発効果が2倍程度あるとされているためだ。

 例えば2000万円の住宅がひとつ売れれば4000万円の乗数効果があるとされる。これほど効率のよい産業は他に見あたらず、ちょっと景気が悪くなると必ずといっていいほど、住宅政策が景気対策の道具として用いられてきたのだ。

 住宅業界はハウスメーカー、マンションデベロッパーなど「新築持ち家団体」が最も強く、次いで宅建業者など「不動産仲介業界団体」、かなり遅れて「賃貸・賃貸管理系団体」という状況だ。彼らは団体として政策提言を行ったり集団で意思表明を行うことで、政治的にも力を持っている。政治の世界から見れば彼らは有権者だから、政治家はそれに耳を傾けることになる。このような構図の中で今の日本の人と不動産の関係は創られてきた。

 しかし、人口減少が進むなか新築住宅を造り続けるのは、空き家は増えるばかりで街の価値は毀損、所有者の住宅価値は下がり、大きく見ると誰も得をしない。いや、新築住宅を販売した業者だけが目先的に得をしているということになる。

 本来はもう新築を造ることより、住宅の滅失(取り壊し)や、減築(建物の一部を取り壊して小さくすること)などを本格的に検討する局面だ

※参考 住宅業界はこんなふうにできている
http://ameblo.jp/03630912/entry-10853897016.html

 

 またすでに書いてきたように、買ったそばから価値がガタ落ちする中古住宅市場では、住宅の価値が10年で半値25年程度でゼロ。要するに、住宅ローンが減るのと、住宅の価値がなくなるのと、どちらが早いか競争しているようなものだ。

 最近では、住宅を購入してローンを返済している世帯が、そうでない世帯に比べて消費を落としていることが知られるようになった。実は新築持ち家に偏重した経済対策としての住宅政策が、長期的に内需経済を傷めているのではないかということが言われ始めている。

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長嶋 修 [株式会社さくら事務所 代表取締役社長]

1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である株式会社さくら事務所を設立。以降、様々な活動を通して"第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント"第一人者としての地位を築いた、不動産の達人。
国土交通省・経済産業省などの委員も歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。
複数の法人を経営する他、TV等メディア出演、不動産・経済セミナー講師、出版・執筆活動等、幅広く活躍中。『不動産のプロから見た日本経済の活路~「ポスト成長経済社会」を豊かに生きる方法』(PHP)他、著書多数。


マイホームはこうして選びなさい

これまで私たちのマイホーム選びは基本的に、交通や生活の「利便性」や地価といった、「価格」との兼ね合いを中心にしてきました。希望の立地条件を前提に、便利でかつ割安な物件を探すのが「賢いマイホーム選び」だと考えられてきたのです。
しかし、今回の東日本大震災では、大津波をはじめ地盤の液状化や斜面地でのがけ崩れで多くの住宅が被害を受け、土地の安全性がクローズアップされました。また、建物に被害はなくても上下水道など周辺のライフラインがダメージを受け、生活に深刻な影響が及ぶことも多くの人が認識しました。
これからのマイホーム選びでは、建物の耐震性が従来以上に重視されるとともに、土地の安全性やライフラインの災害対応力など従来あまり意識されてこなかったポイントも問われることになるはずです。
マイホームをめぐる状況が大きく変わろうとしているとき、最低限知っておきたい基本情報とマイホーム選びのヒントを提供するため、さくら事務所の総力をあげて書籍『マイホームはこうして選びなさい』を企画しました。今回の連載では、「マイホーム選び」を考える新しい道しるべとして、10回にわたりそのポイントをお伝えしていきたいと思います。

「マイホームはこうして選びなさい」

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