建デポプロの会員数は全国で14万人を突破した(写真は埼玉県志木店)

 トステムやINAXが統合したリクシルが始めた新しいかたちの建材・住宅設備販売が波紋を呼んでいる。

 一つが大工や内外装業者など建築のプロユーザー限定の建材ショップ「建デポプロ」だ。

 プロを証明し会員登録すると、材木や金物、電動工具、住設機器など建築現場に必要な資材およそ3万点を直接買うことができる。
年中無休、早朝から夜までやっているため、現場に向かう途中や帰りがけ、緊急に資材が必要になった場合に立ち寄り可能。現在、全国で30店舗を展開している。

 もう一つはオンラインショップだ。キッチンや洗面台、窓や網戸、太陽光発電まで品数は1000種類を扱う。「メーカー責任施工付き」のパッケージ商品がウリで、たとえばトイレリフォームに天井・床・壁の張り替えも付いて23万2800円と明朗会計だ。

 リクシルの狙いは建材流通の効率化と、リフォーム需要の囲い込みだ。

「住宅は左官、畳店、電気店、塗装業者など30以上の業者がそれぞれ資材搬入と注文管理をする。そのため非常に高コスト体質」(潮田洋一郎・リクシル会長)。新築着工が減り続け、住宅・建築業界は効率化を迫られている。

 リクシルであれば一括提供で2割のコスト削減が可能だという。

 また、新築に代わるリフォームビジネスで重要なのはユーザーとの信頼関係だ。オンラインショップの注文はリクシルのスタッフが対応することで安心感を誘う。

 ところがこうした新型販売は「商売を奪われる」と既存のビジネスを守ろうとする流通や中小工務店の反発を招いている。

 しかし、「必要なときにすぐ店で買えるスピード感がありがたい」(内装業)。「得体の知れない業者に頼むより安心」(主婦)といった具合に、便利で安いものにユーザーが引かれているのは間違いない。

 時代の流れに逆らうばかりで自助努力をしない工務店や流通業者が見放される日が来るのも近いかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

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