今後、桐生選手に続いて日本の選手が続々と9秒台をマークすることになるかどうかが注目されるゆえんである。

今後も続くと予測される
世界記録の更新

 世界記録と日本記録とでは、なお大きな差があるのだから、日本記録がこれ以上伸びないということはなさそうである。

 しかし、2009年にウサイン・ボルト(ジャマイカ)が記録した9秒58という世界記録については、これ以上の記録更新は人間の生理的な限界から不可能ではなかろうかという疑念も生じる。

 この点に関しては、過去の世界記録の趨勢から、少なくとも陸上男子の競走競技については、なお記録更新の可能性大ということを示した研究論文(Mark Denny, 2008年)があるので紹介しておこう。

 図2は、この論文が示す2008年までの陸上男女100m走の毎年の世界最高記録をプロットしたものである。

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 これによれば、男子の場合は、依然としてロジスティック曲線に沿って記録が伸びており、ボルトの驚異的な世界記録もその傾向から大きく外れたものではないことが示されている。