ベンツのような高い買い物をした後、「買うんじゃなかった」という不安にかられたことはないだろうか? Photo:Mercedes-Benz

要約者レビュー

『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』
永井孝尚著、208ページ、SBクリエイティブ、800円(税別)

「マーケティングの名著は?」と聞かれて思い浮かぶのはどんな本だろうか?コトラーの『マーケティング・マネジメント』、ジェフリー・ムーアの『キャズム』など名高い名著の数々が挙がるかもしれない。しかしながら、仕事に忙しいビジネスパーソンにとって、実践に活かせるよう腑に落ちるまでそれらの本を読み込むのは決して簡単ではない。紹介されるケーススタディも海外の事例が中心となることから、読者当人にとっては遠く離れた出来事のような印象を持つ人も多いだろう。購入した後、数ページ読んで積読になっていることもあるのではないだろうか。

 その点、本書『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』は積読になることなく、興味を持って最後まで一気に読むことができる本だ。読者にとって身近なケーススタディがさまざまなマーケティング理論を交えて解説されており、サクサク読める。たとえばはなまるうどんの、他店の期限切れのクーポンを活用する女性を対象としたプロモーション戦略など、興味深いケーススタディが数多く紹介されている。

 これからマーケティングを勉強していきたいという人であれば、本書は楽しく読み進めることができるだろう。また、もし本書で紹介されるマーケティング理論をもっと深く知りたくなった場合は、巻末で紹介されている本で理解を深めることもできる。これまですでに多くのマーケティング本を通じて学んできた人も、マーケティング理論を頭の中で整理し定着させる一助として本書を活用できるだろう。 (森本 進也)

本書の要点

(1) スマホや携帯が普及した現在、時間を知るためだけに腕時計をする人は少なくなった。時計メーカーは生き残りをかけ、いろいろな用途に使える腕時計を開発し新市場を創り出すブルーオーシャン戦略を採用している。
(2) 顧客ロイヤルティが高い顧客は生涯にわたって企業に莫大な利益をもたらす。ベンツは購入後のサービスを充実させることで顧客生涯価値を高めている。
(3) はなまるうどんは健康意識の高い女性を集客するため、女性の財布の中にたまっている他店の期限切れクーポンを活用したプロモーション戦略を実施した。この施策により、2億円の広告と同じ効果が生まれた。