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いい商品は価値を守って売ってくる
間違った価格破壊を正すデフレ社会の光
生産者直売のれん会社長 黒川健太

週刊ダイヤモンド編集部
【第161回】 2011年10月5日
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生産者直売のれん会社長 黒川健太
Photo by Toshiaki Usami

 「希望の缶詰」と名づけられ、今、宮城県石巻市で復興の象徴となっている缶詰がある。

 その缶詰は包装がはがれ落ち、なかにはへこんでいる不格好なものもあり、通常であれば売り物にならない代物に思われる。それもそのはず、じつは東日本大震災による津波で、がれきや泥の下に埋もれてしまっていた缶詰だったのだ。

 「希望の缶詰」は、それを承知で買ってくれる消費者の元に届けられ、石巻復興の資金を集めるための重要な役割を担っているのだ。

 缶詰だけではない。かつおぶしや焼きそば、味噌といったさまざまな食品が「希望」の言葉を冠して、被災した会社の復興を支える商品となっている。

 こうした一連の東北復興支援を「希望の環」プロジェクトと名づけ、事業として取り組んでいるのが、生産者直売のれん会の社長、黒川健太だ。

 すばらしい商品を作りながら、販路がないために価格競争に巻き込まれがちな中小食品メーカーに会員になってもらい、彼らの代わりに商品を売るという食品流通事業を展開している。

 今でこそ被災地を支援できるだけの企業に育ったが、これまでの道のりは波瀾万丈だった。

最悪期は3億円の赤字
苦肉の策の方針転換が危機を好機に変える

 黒川が現在の食品流通事業に目をつけたのは、別の会社の社長をしていたときだ。新事業の展開を考え、食品メーカーを回り始めてみると、「販路がないために、商品力があっても買いたたかれてしまい、成長できない会社がこれほどあるのか」と、驚いたという。

 そこにビジネスチャンスを見出して、2007年5月に設立したのが、生産者直売のれん会だった。のれん会の売り場に、会員の食品メーカーが複数出店する、直売所を集めたような売り場を作り、商品の価値に見合った価格で生産者自らの手で売ってもらおうと考えたのだ。

 ところが、このビジネスはいきなり大きくつまずく。会員に新規出店してもらうものの、直売所の多くが苦戦を強いられ、そこに追い打ちをかけるようにリーマンショックがやって来た。

 「企業の投資意欲はパタッと止まり、こちらも出店をお願いするのがためらわれる市況だった」と、黒川は当時を振り返る。

 直売所間の商品流通で発生する利益と会費が収益源の2本柱だったが、出店は減り、商品も動かなくなったことで利益が上がらない。08年12月期には3億円にも上る赤字を出し、次第に黒川自身も身動きが取れなくなっていった。

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