太らないためには、何より糖質制限が大切。そのための最大のカギは血糖値のコントロールである。では、糖質をとりつつも、血糖値の急激な上昇を抑える食べ方はあるのだろうか? 20万人以上の臨床経験と、生化学×最新医療データ×統計データから、医学的エビデンスに基づいた本当に正しい食事法をまとめた牧田善二氏の新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』から、内容の一部を特別公開する。

糖質は朝食で、サラダやヨーグルトの後にする
――最後に食べて血糖値の急上昇を抑える

 あなたが太るのは糖質(≒炭水化物)の摂取過剰によるもので、それを抑えれば必ずやせていきます。

 また、糖質の過剰摂取は、糖尿病をはじめ怖い病気を引き起こしますし、血糖値が不安定になることで仕事の集中力も著しく低下しますから、注意が必要です。

 しかしながら、「糖質は絶対にとってはならない」などと言うつもりは毛頭ありません。上手に摂取してほしいのです。

 まず、1日のうち、いつとるかについては朝食がベストです。これから活動するわけですから、炭水化物が分解されたブドウ糖も使われてしまうでしょう。

「朝は王様のように、昼は貴族のように、夜は貧者のように食べなさい」という、西洋の言い伝えがあります。1日の活動を控えた朝食で多くの栄養をとり、あとは寝るだけの夕食は軽くすませるというのは非常に理にかなっています。

 それに、朝食を抜けば、昼食まで空腹で、その後どかんと食べて血糖値も急上昇させることになるので、朝食はきちんと食べておく必要があります。

 しかし、現実問題としては、忙しいビジネスパーソンが、ゆっくり朝食をとるなど無理。そこで、おにぎりや惣菜パン、サンドイッチなど、食べやすい炭水化物を口にするといいでしょう。

「1日、1回はどうしても白いごはんが食べたい」
「無類のパン好きで、いろいろなパンを食べるのが楽しみ」

 こんな人は、朝食で炭水化物をとるようにしましょう。ただ、そのときも、いきなりごはんやパンを口に入れるのではなく、サラダや具だくさんの味噌汁、ヨーグルトなどの後に食べるようにするだけで血糖値の急激な上昇が抑えられます。

なぜ食べる順番で太り方が違うのか?
――「野菜→タンパク質→糖質」と、糖質は最後が鉄則

 なぜ、ごはんやパンをいきなり食べず、味噌汁の具やヨーグルトなどを先に摂取するといいのかについて、簡単に説明しましょう。

 私たち人間には、素晴らしい消化・吸収のシステムが備わっています。口で咀嚼した食べ物は、胃で消化液と混ぜられ分解されて腸に送られ吸収されます。この消化・吸収のスピードは、コーラや缶コーヒーなど液体の糖質が一番早く、続いて炭水化物、肉や魚などのタンパク質、食物繊維が豊富な野菜類と続きます。

 であるならば、消化に時間のかかる野菜やタンパク質を先に食べ、最後に糖質を食べることによって血糖値の上昇が緩やかに抑えられます。

 野菜類は、根菜や甘いトマトなどを除けばほとんど血糖値は上がりません。肉や魚も上がりません。こうしたものが先に胃の中に入っていることで、そこにごはんなど糖質が加わっても、急激に血糖値が上がることはない。つまり太ることもないのです。

 たとえば、生姜焼き定食が目の前にあったなら、ますは付け合わせのキャベツや小鉢に入った野菜類を食べ、次に肉を食べて、最後にごはん。これなら、血糖値の上昇も抑えられる上に、ごはんを残すこともできるでしょう。逆に、先にごはんをかき込んでしまうと、一気に血糖値が上昇。結果的に同じものを食べたはずなのに、肥満につながります。

食べる時間を長くして、
一口30回噛むようにする

 ちなみに、食べる時間を長くすることも、肥満防止につながります。朝食を急いでかきこんでいる人も、昼食はゆっくり食べるよう心がけてみてください。

 たいていの職場では、ランチタイムは1時間と決められているはずです。しかし、日本のビジネスパーソンの昼食は、15分もあればすんでしまうのが現実です。忙しいビジネスパーソンにとって「早飯」が習い性になっているからですが、健康のことを考えたら、せめて30分はかけて食べるようにしましょう。

 一口につき30回噛むのが理想です。よく噛むことで、食べ物が唾液に含まれる消化酵素としっかり混ざり合います。

 また、時間をかけてゆっくり噛んでいれば、脳の満腹中枢に「そろそろお腹がいっぱいです」というシグナルが送られます。早食いの人は、そのシグナルが届く前に食べ終えてしまうため、ごはんのおかわりなどをしてしまうのです。

 できれば、早食いの人とはランチをともにしないこと。周囲が早食いしていても、自分はゆっくりと噛んで食べることを守ってください。大切な健康のためです。つまらない気遣いはやめましょう。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)