流通・小売業界が「長雨」「冷夏」を乗り切れた意外な理由

今夏は7月こそ暑かったものの、夏本番の8月は雨続きで冷夏となる「異常気象」に見舞われた。流通企業や食品、家電メーカーなどが展開する「夏物商戦」は、大きなダメージを受けたのではと見られていたが、意外や意外、あの手この手で乗り切っていたようだ。(ダイヤモンド・オンライン編集部 松野友美)

クーラーが売れなくても
除湿機でカバーした家電量販

 今年の夏は予想に反し、異常気象だった。

 気象庁は6月23日に発表した7~9月の3ヶ月予報で「猛暑になる」としていた。ところがどっこい、これが大外れ。首都圏を中心に8月は雨続き。東京都心では1日から21日間連続して雨が降り、1977年に続く第2位の連続降水記録となった。その結果、東京都心で日照時間が10時間以上になった日はゼロ、猛暑日になったのは8月9日(37度1分)だけだった。

 こうした異常気象は、当然ながら経済に大きな影響を与える。最も大きいのはアイスやビールといった食品から、小売り、外食、そして長雨で外出の機会が減るため海水浴やテーマパークといったレジャー施設に至るまで、いわゆる“夏物商戦”にとってはありがたくない話だ。

 しかし、詳しく取材していくと、どうも様子が違うようだ。

 暑さ対策の筆頭格と言えば、なんといっても「エアコン」だ。ヨドバシカメラによると、8月1~28日の集計で、エアコンの売り上げは前年比90%と振るわなかった。しかし、扇風機は同104%と先行、その後、除湿機が売り上げを伸ばし同150%となったという。

 背景にあるのはやはり長雨。関西よりも長雨の関東で見られたのがその証左だ。洗濯物の部屋干しによる除湿ニーズの高まりで、品切れする店舗まで出たという。たとえ暑くなくても、天候に応じた別の商品を充実させていたことによりカバーできた形だ。