ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside

需要国が中国包囲網を結成も
変わらぬレアアース危機の構造

週刊ダイヤモンド編集部
2011年10月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
オーストラリアや米国でも開発は進むが、全需要を賄うことはできない

 10月4~5日、米国ワシントンDCで、世界のレアアース市場で8割強の消費量を占める日米欧の政策担当者や専門家が、一堂に会していた。各国が連携して今後の安定調達の方針、つまり“対中”戦略を練る、初めての会合だ。

 レアアースとは、31鉱種あるレアメタルのうち、17元素の総称のこと。自動車や電化製品などの高機能化や軽量化に使われる。現在、約12万トンといわれる世界の需要量の、ほぼすべてが中国から供給されている。

 昨秋以降、中国が意図的に価格をつり上げたり、輸出量規制をかけたりした“レアアース危機”は今も続く。種類によっては、価格が下がっているものもあるが、たとえばハイブリッド車の駆動モーター用磁石などに使われるジスプロシウムは、過去1年で約30倍にも高騰した。耐え切れず、「輸出価格の半値で仕入れが可能な、中国への製造拠点移転に動き出すメーカーもある」(大手商社幹部)。

 一国供給体制といういびつな構造に、需要国は翻弄された。だが、思うままに市場を支配する中国に対し、各国ともに効果的な戦略を打ち出すことができず、不満が高まった。

 そこで、「需要国である日米欧が連携することで、“買い手”としての力を強める構想がにわかに浮かび上がった」(大手商社関係者)というわけだ。中国に対する価格交渉力を強めたり、中国以外での資源開発において協力したりすることが、今後ありうるという。

 ただ、産業界からは「この構想は安直」(メーカー幹部)との声が、早くも聞こえている。開発はオーストラリアや米国でも進むが、生産開始までは、中国に翻弄される構造は変わらないからだ。中国以外では見つかりにくいレアアースもある。

 ある企業の幹部は、本会合への出席を経済産業省から打診されたが、あわてて断ったという。慎重かつ明確な戦略が打ち出されなければ、「“包囲網”体制は、中国を逆に刺激するだけ」(同幹部)に終わりかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 脇田まや)

週刊ダイヤモンド

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside

産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。

「inside」

⇒バックナンバー一覧