バイト先から帰宅すると
アパートの横に不審な車が……?
会社で事務職のアルバイトをしていた40歳代のAさんは、午後3時頃、バイト先から1人暮らしのアパートに帰宅すると、建物の横に不審な車が停まっているのを見つけた。
直感的に、Aさんは「何か良からぬことで自分が関係しているような身の危険」を感じ、部屋に帰った後、「怪しい車がいる」と警察に通報した。
30分くらいして現れた交番の警察官は「同業者の人だよ」と言って、「とりあえず話を聞いてください」と、車のほうに誘導した。“怪しい車”は、警察の車両だった。
車内には4人の刑事がいて、車に乗り込むと逮捕状を見せられた。手錠をかけられ、腰回りにヒモを付けられた。罪状は脅迫罪だった。
どういうことなのかと質問しても、刑事は「捜査中だから詳しくは言えない」と口をつぐんだ。
心当たりはあった。前日の夜、70歳代の父親から電話があったとき、口論になり、最後にかけ直して「今から殺しに行くよ」と暴言を吐いてしまったことだ。もちろん本心でそう思っていたわけではなく、売り言葉に買い言葉のような流れの中で出てきた言葉だったという。実際、そう電話した翌日もバイトに行っていた。
ただ、長らく父親とは連絡を取っていなかった。たまたま最近、実家に帰る機会があり、実家のルーツである大事なものを自分の知らないうちに移転させていたことを知った。その怒りが暴言の背景にあった。
父親は、当時の電話での発言を録音していたらしい。それでも、父に電話したのはそのときだけだった。
「一番驚いたのは、それだけの証拠で逮捕できちゃうんだってことです。日本の警察は」