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スマートフォンの理想と現実

人はスマートフォンを持てば“スマート”になれるのか?
クラウドにビッグデータを置く時代の携帯端末のあり方

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第9回】 2011年10月19日
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 「スマートな人(賢い人)って、実際そんなに、いないよね」

 私がスマートフォンに関する連載を書いていることをご存知の方から、たまにこんなご指摘を受けることが、たまにある。

 曰く、スマートフォンというけれど、使っている人間がスマートになったようには思えない。スマートフォンというのは、スマートな人ではなく〈スマートになりたい人〉のための電話や情報端末で、「家内安全」や「学業成就」などと同じく、人間の願望を表したお守りのようなものではないか、と。

 なかなか興味深い話である。まず、こうした少々皮肉めいた指摘が増えているというのは、スマートフォンが浸透しはじめたことの証左だろう。大都市圏では、すでに出荷の半分強がスマートフォンで占められるようになっており、電車の中を眺めていると、確かにフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)利用者は少数派になりつつある。

 またこうした意見が、最終消費者のみならず事業者サイドからも聞かれることも、移行の過渡期にあることをうかがわせる。仕事柄、通信事業者やメーカーの方から、スマートフォン時代にどのようなインフラやサービスを作るべきか、というお問い合わせを多くいただくのだが、明示的にこうした言葉を使わないまでも、「いかに人間をスマートにするか」という意識を事業者側が有している印象を受ける。

 こうした指摘に対し、私自身の見解は「半分正解、半分間違い」というところである。確かに人間はそんなにスマートではないし、スマートフォンを持てばスマートになれるのであれば世話はない。しかし、スマートフォンによって社会における人間の行動が最適化され、社会構造が変化する可能性は、十分にあると考えている。

節電対策とスマートフォン

 たとえば今年の夏、日本列島は〈原発ショック〉に襲われた。東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、日本中で原発利用の点検や見直しが進んだ結果、震災の影響を直接受けていないはずの西日本地域も含め、あちこちで電力供給が不足し、節電を余儀なくされた。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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