小池新党の「内部留保課税」は設備投資や雇用に全く効果がない<br />「内部留保課税」を含んだ公約を発表する「希望の党」の小池百合子代表    Photo:日刊現代/アフロ

突然の解散によって幕を開けた総選挙は、9月10日に公示日を迎え、ついに12日間の選挙戦に入った。東京都の小池百合子都知事が立ち上げた「希望の党」は、「内部留保課税」を公約に掲げる。その影響について、久留米大学の塚崎公義教授が解説する。

 東京都の小池百合子都知事(以下、小池代表)が立ち上げた「希望の党」は、消費税増税を凍結する一方、大企業の内部留保に課税することを検討している。

 小池代表は、9月6日に行った公約発表の記者会見でも、「内部留保課税は、貯めに貯められたお金が流動的に動くきっかけになると考えている」と発言。内部留保課税を実施すれば、企業が内部留保を企業内保育園の整備や設備投資、株の配当金などに回すきっかけになると主張した。

 同党のホームページにも、「消費税増税を凍結し消費の冷え込みを回避する一方、300兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす」とある。

 一方、報道によれば、自民党の麻生太郎副総理兼財務相も、内部留保課税に対しては「二重課税である」と批判しつつも、内部留保が積み上がっていることについては「金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか」と指摘したようである。