企業の内部留保は「タンス預金」的なもの?

 希望の党は、今回の選挙で「実感の伴う景気回復まで消費増税は凍結し、その財源として内部留保に課税する」という公約を挙げている。すでに自民党は、法人への二重課税と非難している。この点について、簿記や会計の机上の学問だけではなく、メガバンクで一時期法人を担当し、出資案件等にも対応してきた筆者の個人的な経験も踏まえて考えてみたい。
 
「内部留保」は勘定科目にはない。名称からすると、企業の最終的な利益のうち、配当金等外部に流出するものを除いた、まさに内部に留保するものという意味であろう。バランスシート(貸借対照表)で言えば、貸方の資本勘定の「利益剰余金」を指していると考えられる。希望の党が出している数字からしてもそうであろう。ここへの課税は、自民党が言う「二重課税」もさることながら、意味合いが少々違うのではないかと考えている。

 失礼ながら勝手に想像させていただくと、この公約は、もしかしたら勘定科目の借方の「現金・預金」(以降、預金)的なものを想定しているのではないか。つまり、個人でいうところの「タンス預金」のイメージであろうか。銀行に預金すればまだ銀行が貸し出し等に使うことができるが、タンスに入れるとおカネが経済還流しない。そんなイメージなのではないか。

 さすがに個人のタンス預金に対する課税は困難であり、国民の抵抗も強いであろう。ちなみに、年配の方は、昔(1946年)日本でも預金が封鎖されたことを経験されており、最後の最後では銀行を信用していない方はいるかもしれない。

 内部留保に当たる勘定科目は利益剰余金とするならば、確かに自民党が言うように、すでに法人税が課税され引かれた後のものである。つまり、端的に言えば法人税の引き上げ(増税)になる。これはトランプ政権が法人税を引き下げて企業を活性化させ、企業誘致を図ろうとするのと“逆”だ。これでは日本企業は海外に逃げていくだろう。