多くの日本人が好む海の魚が持つ磯の風味も、中国人には生臭さいと感じる部分があるらしい。

 中国で、「いりこ」や「あご」を使った魚介系の出汁(だし)が敬遠されるのは、この「腥味(シンウェイ)」に起因するところが大きい。

日本人が敬遠する雷魚やフナを
中国人は好む理由

 一方で、中国人は「雷魚」や「草魚」、「フナ」や「鯉」等の淡水魚といった、日本人が泥臭く感じて、広く食用としては流通していない魚の中に、海の魚よりも魚本来の“味(風味)”を感じるという。

 日本人とは、無意識にキャッチする風味が異なるのだ。

 もっとも現在では、中国でも海の魚は珍重され、高値で取引されている。

 この現象だけ取り上げると、歴史的に周囲を海に囲まれた日本人は、海の魚を食べることができたが、中国は海産資源が乏しいため、川や沼に生息する泥臭い魚を食べざるを得なかったと分析することもできる。

 しかし、食文化というのはその土地や地域で長い年月を掛けて培われてきたものである。

 単純に日本人の物差しで測れるものではないというのが俯瞰した物事の見方ではないだろうか。

 すなわち、恐らく中国人は泥臭い川魚を海の魚の代替として仕方なく食べているのではなく、「それが好きで食べている」と考えるのが素直な捉え方のような気がする。