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 健康保険法や国民健康保険法では、医療給付の対象を病気、ケガ、出産、死亡と限定しており、美容目的で健康保険を使うことはできない。ところが、本コラムの第147回でも紹介したように、「ヒルドイド(成分名:ヘパリン類似物質)」という外用薬の美容目的使用が急増し問題になっている(参考:『「ヒルドイド」を美容目的で処方してもらうのは違法だ』)。

 この問題に、いち早く対応方針を明確にしたクリニックがある。東京・千代田区にある「お茶の水内科」(院長・五十嵐健祐氏)だ。10月13日、ヒルドイドの処方について、次のような対応策をとることをホームページで発表したのだ。

「ヒルドイドの処方に関しては、一旦全額医療費をご負担いただき、受付から医療費の明細、レセプト(診療報酬明細書)を発行いたしますので、その後、保険証の発行元の健保組合と直接、保険対応になるかどうかをやり取りしていただくという方針としました。また、本当に治療目的で保湿剤が治療上必要と判断される場合はこの限りではありません」

 お茶の水内科の院長・五十嵐健祐医師は、なぜ、このような対応をとることにしたのだろうか。

 きっかけは、10月6日に健康保険組合連合会が公表した「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究III」(PDF)で、美容目的でのヘパリン類似物質の処方が全国で年間93億円にのぼると推計されたからだという。

「皮膚の乾燥などを訴える患者さんからの強い希望で、皮脂欠乏症などの保険病名をつけてヒルドイドを処方した経験のある医師は少なからずいると思います。ただ、今回、健保連の調査研究で、そうした必要性の低い保湿剤の処方が年間93億円にものぼると知って、看過できないと思ったのです」(五十嵐医師)