今年10月、BSのチャンネル数が24に倍増した。加入者数約900万世帯とトップを走るアニメ専門チャンネル「アニマックス」も参入した。滝山正夫社長に事業戦略と最近のアニメ事情について聞いた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)
――BS放送でもアニマックスが見られるようになり、一部の市場が2.4倍に広がった。加入者は伸びているのか。
来年の3月末までに10万世帯の獲得を目標にしている。出足は予想以上。やはりアニメの好きな人は多いと感じた。
出資者にアニメ制作会社のサンライズや東映アニメーションなどがいるため、「ガンダム」や「ドラゴンボール」など過去の名作を放送できる。他のBS放送にはないため、「こんなに懐かしいアニメがあるのか」と思ってもらえる。
加入者は、地上波では流れないアニメを見たいし、「名作を孫に見せたい」とも言っている。世代は子どもたちから、鉄腕アトムを見て育った60代まで幅広い。
――今年8月には有料チャンネルで初めて900万世帯を突破した。アニメ専門チャンネルが業界トップというのは意外な印象もある。
1998年の開局のときから、日本にはコミック文化が根付いているために潜在的な市場は大きいとみていた。
ハリウッド映画の見られる洋画専門チャンネルですら加入者が50万程度しかいないのだから、それだけ、日本ではアニメが浸透しているといえる。
だが問題もある。まず、少子化の影響だ。団塊世代は1学年に約260万人いたのに、いまや110万人ほど。そのためマンガもおもちゃも売れなくなり、市場は縮小している。視聴率もとりにくくなったので、地上波のアニメ放送は土・日の朝か、深夜帯に追いやられている。